お知らせ

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グローバルウィーク・ダイジェスト2022 2日目(11/15実施分)
2016年に、SGHの活動の一環として始まり、「立場を超えて互いに学びあう1週間」をスローガンに、それ以来毎年実施しているGlobal Week。今年度は以前通り11月14日(月)~11月18日(金)の1週間を通して実施しました。
今回は11月15日(火)に行われた2日目のダイジェストを各トピックの運営担当者よりご報告致します。
◆トピックコード 201
「ヨーロッパの形成におけるキリスト教とユダヤ教の影響」
元岐阜大学名誉教授 藤井洋 先生
参加生徒数 生徒12名 報告者名 森依子
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1.トピック内容等
ユダヤ人は、モーゼに率いられてエジプトを脱出し、「約束の地」を求めてイスラエルに向かい、その後も、ヨーロッパのみならず、世界各地へ移動が始まります。3000年も前から、ユダヤ人たちは、差別と迫害を受けているということ、キリストの死後、ユダヤ教徒への不信感が高まり、ユダヤ人たちは、住居も安定せず、職業も、金融関係や、芸能関係に制限されていたことなどを、学ぶことができました。ユダヤ人への迫害、はヨーロッパのみならず、ロシアや北欧など、全世界的に行われ、また全時代に及んでいます。ナチスによる600万人のユダヤ人の殺害は、誰もが知る事実です。現在では、第2次世界大戦の歴史の反省のもとに、ドイツでは、多くの難民を、受け入れるべき体制を整えています。この講座を通して、もともとは同じ宗教でありながら、異なる道を歩むことになったユダヤ教とキリスト教、それを信じる民族の対立と、歴史を知ることができました。現在も対立は続いていること、解決が困難な状況があることなど、世界を取り巻く問題に関心を持って、これからも生活していきたいと思いました。どうもありがとうございました。
2.生徒の感想
・ユダヤ人の定義が、国によってそれぞれ違う。
・ヨーロッパ諸国における、ユダヤ人への待遇。
・パレスチナ問題が未解決の理由。
・ユダヤ教とユダヤ人、キリスト教についての理解ができたこと。ヨーロッパにおける民族の移動が始まり、各地域でも、ユダヤ人の差別や、迫害が行われたことなど、古い歴史に遡るが、現代にも通じることがあると思う。
◆トピックコード 202
「多文化共生と異文化コミュニケーション 能力 (日本語) Cross-Cultural Communication Challenges (英語)」
法政大学 人間環境学部 人間環境学科 教授 Esther Stockwell 先生
参加生徒数 13 名 報告者名 デグラ・シェバ
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1.トピック内容等
この講義では、多様な文化的視点を理解し、尊重するために必要な、文化や文化的認識に関する知識を深め、最終的にその認識や態度、知識を異文化間能力へと転換させることを目指す。さらに、文化がどのように、私たちの現実に対する視点を形成し、現実に対する認識を変化させるかを理解した。生徒は、自分の文化や、世界のさまざまな文化について考える機会を持った。また、私たちと異なる文化を持つ人々が、私たちと異なる、あるいは奇妙な存在である、というわけではないことを、より深く知ることができたようである。最後に、生徒たちはこのテーマについて、グループディスカッションを行い、互いの気づきを共有した。コミュニケーションと文化意識は、相互に関連しており、世界の人々の相互理解に、重要な役割を果たすという報告をまとめて発表した。
2.生徒の感想
・コミュニケーション”と聞くと、言葉や言語ばかり想像していたが、ジェスチャーや、服や表情など、様々な形があり、奥が深い。楽しかった!
・とても興味を持って、トピックでコミュニケーションを上手くとるために、相手の立場を考え、理解しようと努力するが大切だ、ということを教わった、見た目や生まれた国で、人を判断するのではなく、自分の心を開いて、人とコミュニケーションをとりたいと思った。
・日本と外国人の文化の違いが分かって、人とコミュニケーションをとるときに、みんなでそれぞれ、文化が違うということが分かりました。グループコミュニケーションでも、先輩方と意見を交換しあえたことが、楽しかった。
◆トピックコード 203
「高校生向け金融教育プログラム 『Economics for Success』」
公益社団法人 ジュニア・アチーブメント日本 プログラムマネージャー 先生
参加生徒数 19 名 報告者名 三井田真由美
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1.トピック内容等
前半は、実際に生活に必要なお金について、考えました。用意されたワークシートに、給料が20万円として何に支出するか、各自が具体的に数字を書き込みます。生活のスタイル(何を重視するか)や貯蓄について考え、給料明細を見ながら、税や社会保障費についても説明していただき、働き方についても考えました。後半は、クレジットカードの支払いについて、分割・リボ払いなど、実際にシュミレーションしました。特にリボ払いのシュミレーションでは、入り口の気軽さに対して高額な支払いになる事実に気づき、驚きの声が上がっていました。
2.生徒の感想
・キャッシュレス化が進む現代において、クレジットカードにおける、注意するポイントや一括払い、分割払い、リボ払いなどの違いについて、知ることができた。
・分割払いと、リボルビング払いの違いが分かりました。リボルビング払いは、毎月決まった額を支払うもので、支払い残高がいくらあるのか、把握しづらいものです。前月の支払い残高で、手数料が決定するので、気づかないうちに、手数料が膨大な額になってしまうそうです。そのような事態に陥った時は、一人で抱え込まず、消費生活センターなどに相談することが、大事です。来年18歳になったら、支払方法に気を付けて、クレジットカードを作成したいと思います。
・18歳で成人になり、クレジットカードも作れるようになるけれど、クレジットカードは使い方によっては、買ったものよりも、高く払わなくてはいけなくなってしまうから、使い方に注意する必要がある。
・1番記憶に残ってるのは、リボ払いはいけないということ。
◆トピックコード 204
「大人もたくさん失敗中。」
株式会社 ENEOS サンエナジー 産業エネルギー事業 本部 船舶航空燃料部 長橋博史 先生
参加生徒数 16名 報告者名 小寺博明
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1.トピック内容等
長橋博史さんの他に、積水ハウス株式会社 イズ町田店店長の髙木基雄さん、国立大学法人 北海道教育大学 釧路キャンパス准教授の、菊野雅之さんに参加していただき、その方々が、これまでに生きてきた中で経験した、人付き合いや、自分のスタンスについての失敗や、進路面での失敗、過去に世界シェアを大きく持っていたのに、世界の変化に対応しきれず、挑戦をしなかったために衰退してしまった、ある企業の失敗の事例などを発表していただき、それに対して参加者の生徒それぞれが、一言コメントを伝えたり、気づいたことを共有したりしました。そのあとは、生徒同士で4人ごとのグループを作り、班の中でお互いに、失敗の発表をして、周りの生徒からのコメントをもらう、ワークショップを行いました。最後に、御三方が思う失敗の捉え方や、その後どう動いているのか、学生へのアドバイスを話していただきました。
<生徒の様子>社会人の御三方の話や、グループ内での話し合いを通して、自分の失敗を他人が聞くとどう思うのか、改めて自分の失敗を見つめ直したときに、それをどう感じるのか、という手順の中で、失敗の捉え方の変容を味わっているようでした。
2.生徒の感想
・成功の反対は失敗であるが、失敗の反対は成功ではなく、挑戦しないこと、挑戦しないままでいることが、失敗につながっていくことがある、という言葉が印象に残りました。また、同じグループの人から、学びや、得たものなどが、とても大きかった。それは、自分が、ものすごく大きな失敗をしてしまったと思っていたとしても、案外それはたいして大きくなくて、また、時間はたくさんあるわけだし、今できなくて愚痴を吐いて何もやらないより、次があるのだから、そのために、今回できなかった悔しさや悲しみなどをバネにして、頑張った方がいいんじゃないか。何事も、一旦ポジティブに考えてみたらどうかな。などというコメントをもらったことで、すごい心に刺さったし、今回聞いた考え方で、自分も変わっていけたらいいなと思った。同じようなことで悩んでいる友達にも、教えてあげたいなと思いました。
◆トピックコード 205
「ドイツのサステイナビリティーライフスタイル・文化・ことば」
杏林大学 専任講師 田中洋 先生
参加生徒数 12名 報告者名 和田玲
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1.トピック内容等
ドイツの様々な特徴について、対話的に楽しく学ばせて頂きました。講義は、主に3つのトピックから成っています。①環境活動、②文化、③ドイツのイメージと真実について、です。環境活動の例としては、瓶の回収箱が4種類もあったり(そのまま再利用できるもの、再加工が必要なものといった、種別によって分別)、脱原発まであと少し(残り3基)となっていたりなど、国民の決断力、実行力、持続力の強さを感じさせる取り組みを学びました。ドイツの文化に関しては、楽しい写真を拝見しながら解説をして頂きました。HARIBOI(お菓子)、クリスマスマーケット、信号のマーク、ゲーテの作品の面白さに加えて、ドイツ語から派生した日本語(アレルギー、バイト、ゼミナール)なども教えて頂き、楽しい時間となりました。最後は、生徒たちが抱くドイツのイメージを共有し、先生から、その実態に関する解説を頂きました。「ジャーマンポテト」はドイツには実在しない、「サッカー」は実は歴史は浅い、「大学の学費が安い」のは本当だがその分税金が高い、「ケチ」はドイツではポジティブな価値観、「物言いがダイレクト」なのは効率を重視する気質が、語りにも反映しているからかもしれないなど、文化的気づきに溢れた興味深いお話をうかがいました。生徒たちは終始、先生の問いかけに積極的に応じ、生き生きと議論していたのがとても印象的でした。
2.生徒の感想
・ドイツ人の気質は、日本人と似ていると思っていたけれど、意外にも、明確に異なるところがあるのに驚いた(15分以内の遅れは許容範囲内とか、物言いが直接的であることなど)。いくつかの日本語は、ドイツ語由来だったというのも面白い気づきでした。
◆トピックコード 206
「昔から見れば、現代はドラえもんの世界?』-皆さんの当たり前を支えるIT技術とビジネスモデルー」
情報経営イノベーション専門職大学 教授 平山敏弘 先生
参加生徒数 23名 報告者名 奥沢怜央
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1. トピック内容等
ドラえもんの秘密道具を切り口に、「DX」の考え方を講義された。「DX」は、人々の生活の向上が目的である。糸なし糸電話⇒スマホ、百科事典⇒Google検索、宇宙探検ごっこヘルメット⇒AR、ウマタケ⇒セグウェイなど。
サンデーバンキング(日曜も口座への入金出金可能)を例にして、ビジネスモデルを紹介した。サンデーバンキングをスタートした結果、14兆円から23兆円と、10兆円程度のお金が、寄り集まるようになった。某警備会社も30年前に比べ、売り上げが10倍以上になった。
現在は人口知能を用いA「がん治療計画支援=IBMのWatson」「某大手銀行のPeper君」「レシピ提供」など。またサイバー攻撃による、AIの暴走やセキュリティ問題の講義も行った。
2.生徒の感想
・内容は難しいが、これからの世界を考えるうえで、とても興味深い内容だった。
・DXとはなにか、ビジネスモデルを変革すると共に、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立することや、これまでに予想してきたものが、これから起こっていってしまう可能性がある、ということなど、自分たちの将来の生活のあり方を改めて学ぶことが出来た。それと同時にAIなどやコンピューター機械が、いい意味でも悪い意味でも、発展し続けることに対して、私たちのしっかりとしたセキュリティの管理が、大事になっていくんだなと、いうこともわかりました。
◆トピックコード 207
「科学的根拠に基づいたスポーツ傷害 (ケガ)の予防」
帝京平成大学 講師 原田 長 先生
参加生徒数 16名 報告者名 増田三華
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1. トピック内容等
1.アスリートを支える仕事
アスレチックトレーナーと、理学療法士の違い、実際に現場では、どのように活動をするのか。
2.スポーツ傷害予防の考え方を知る
スポーツ傷害とは。Emergency Action Plan (EAP)、発症予防のための4つのステップ。
3.傷害発生状況を知る
国内のデータが少ないため、米国のデータと、順天のデータを比較した。
競技・発生機転・部位・性別の発生率と重症度より、傷害発生状況を明確化する。
4.傷害の原因・メカニズムを知る
傷害発生状況を明確化した上で、予防手段(予防策)の提示、予防手段の効果検証、というステップを繰り返す。
症例として多い、足関節捻挫の解剖・神経学的な状態、リスクファクターとしてあげられることは何か。
5.傷害予防プログラムを実施してみる
捻挫しやすい状態のチェックと、予防エクササイズの実践
【トピック中の生徒の様子など】
参加生徒のほとんどが、捻挫などの傷害を、自身や身近に経験しており、自分事として真剣に話を聞き、傷害予防プログラムを実践した。運動選手のケアに関わる職種に、興味を持っている生徒より、進路選択の方法などについて、話題提供者へ積極的に質問した。
2.生徒の感想
・どの競技が、どこを怪我しやすいのか(どのような怪我が多いか)分かった。
・スポーツをする際に発生する怪我と、スポーツ界の理学療法士について、よく知れた。
・捻挫を防止するための筋肉のつけ方や、ストレッチを教わったので、これからは、少しはけがをしにくくなるといいと思う。
・自分が、将来なりたい仕事の内容や、どのような知識が必要なのか、などを学ぶことができました。
・将来の仕事について、考えることができた。これからも、色々な視点を持って、将来のことを考えていきたい。”
◆トピックコード 208
「社会と健康」
順天堂大学国際教養学部 先任准教授 野田愛 先生
参加生徒数 11名 報告者名 和田光
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1. トピック内容等
社会と健康がどのように関わっているのか、スライドとグループワークでの講義であった。前半はスライドでの講義で、疾患についての話がメインであった。日本とアメリカの疾患の比較や、近年は社会環境が大きく影響している。また、社会構造が、集団あるいは個人の行動・生活習慣・健康状態へ、影響を与えている。生徒は真剣に講義を聞き、メモを取っている生徒もいた。後半はグループワークを実施し、東京23区の格差と健康で、各班ごとに相関図を作成し、発表をした。エクセルの使い方がわからない生徒が多く苦戦してしたが、先生の協力のもと全部の班が完成した。生まれた場所や環境によって格差があり、健康状態や寿命にも影響すると感じた。
2.生徒の感想
・性を、男と女の箱に入れて区別するような社会ではなく、「多様性」というものを、自分の中で考える、良い機会になった。
・今まで、大半の人が歩むような人生をレールに例えて、その上を、どのように進もうかろか、どのようにスピードを出していこうか、とばかり考えていたけれど、いくらでも立ち止まって良いし、いつでも戻ってきていいという自分にとって安心していられるような場所を見つけられた気がした。
◆トピックコード 209
「開発途上国における医療・看護支援者としての心構え」
東邦大学 健康科学部 教授 尾立篤子先生
参加生徒数 14名 報告者名 吉野裕紀
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1. トピック内容等
看護職(看護師・助産師)として、病院での臨床看護の他、危機的状況の中で、人々の命と生活を守る活動に、長年従事されてきた経験から、開発途上国における、医療・看護支援をする際に、必要な心構えとして重要なことは、「支援地の文化や習慣の理解に努め続けること」「(援助支援チームの一員としての任務を、全うするために)自分自身の健康を、まず確保すべく行動すること」「倒れず、争わず、最後まで日本の看護師らしく、公正にふるまう」ということである。「違いを奇異と思わない」ことや「無理をして援助にあたることが、最終的にはチームに迷惑をかけてしまう」などについて、わかりやすくお話頂きました。
2.生徒の感想
・私は、将来何らかの形で、青年海外協力隊として、海外の支援に行きたいと思っているが、今回先生の言葉の中に、自分が行く前に思っていた、やりたいことと現地の人々の要望が、全く異なる時のギャップに苦しむことがある、というものと、自分の犠牲を払ってまですることではない、というものがあって、とても納得できた。自分が、したいと思っていたことができていなくても、現地の人々の期待に添えたら、それは良かった、ということにして、次の事に進むことが大切だと感じた。
・看護の道でも、自衛隊というのは考えていなかったので、進路を考える上で、参考になりました。また、今回講師としていらした尾立先生は、国際的にも活躍されていて、多くの人を救ってきたと思います。なのにもかかわらず、謙虚な姿勢を崩さず、これからもまた、誰かの事を笑顔にし続けるのだと考えたら、感動しました。海外で活動するうえで、日本と衛生環境や、文化や人柄が全く異なっているなかでも、日本らしさは忘れず対応するのは、かっこいいと思いました。この姿勢は、海外で活動しなくても、大切だと思ったので「倒れず、争わず、最後まで、日本の看護師らしく、公正にふるまう」は、これからもずっと、頭に入れておきたいです。”
◆トピックコード 210
「民族/国民意識が形成される過程」
東京大学大学院総合文化研究科 助教 重松尚 (しげまつ ひさし) 先生
参加生徒数 11名 報告者名 田中秀長
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1. トピック内容等
まず、副題内の「中東欧」を指す地域の、時代的(フランスが台頭した時代に、ドイツがそれに対抗すべく、ロシアとフランス間にある国々は、まとまらなければならないとの考え)、政治的(資本主義でもなく、社会主義でもない国々)、違いの説明から入り、主題に用いられている、「国民」または、民族を指す、「ネイション」の説明に重点がおかれ、説明された。このネイションの和訳は難しく、大まかには前記したものでよいのであるが、生徒に伝わるよう、丁寧に噛み砕いて説明されていた。また主題である問題の結論は、結果、外的要素から、国民意識・民族意識(自分達はこのような特性を持った集団なんだ)が芽生えるものであることが、理解できた。色々な考え方があるのであろうが、大いに有益な時間を提供して頂いたと、博士に感謝申し上げたい。
2.生徒の感想
・ 今までよく分かっていなかっ、た「民族」と「国民」の違い、そして「ネイション」という概念について、具体例をみながら、理論的に理解できた。リトアニア語がサンスクリット語に類似していることや、その理由など、普通に生活していたら、興味をもたないような言語の繋がりについて知り、言語学にも興味を持った。(生徒)
・ 複雑な中東欧の設立過程や、ネイションという言葉の解釈の違いが、国家樹立に大きな影響をもたらす、ということが理解できた。授業に参加するということ自体が、本当に久しぶりだったので、とても新鮮で楽しかったです。仕事や家事に追われる毎日ですが、学ぶというに前向きになりました。ありがとうございました。(保護者)”
◆トピックコード 211
「心臓は電気とカルシウムイオンで動いている」
東邦大学 薬学部 薬物学教室 教授 田中光 先生
参加生徒数 22名 報告者名 松本遼
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1. トピック内容等
心臓の拍動が、どのようにして起きるのかについて、詳しく説明をして下さった。非常に難しい内容であったが、生徒も一生懸命に、その内容を理解しようと努めていた。実際に、心臓が電気信号を発している際の動画を用意してくれていたり、心臓の模型を用意してくれていたりと、視覚にも訴える形で、高度な内容が、中高生にも理解できるようにお話ししてくださった。心臓の動きについて詳しく研究を進めていくことで、将来的には、心臓の病気(例えば、心筋梗塞や狭心症など)を治すことに、繋がっていくということがわかり、興味深いトピックであった。今回の「心臓」の研究を一例にしてみても、生物の知識だけではなく、物理の知識や化学の知識など、複合的な知識及び視点が必要だということを、生徒が理解した、充実した時間になった。高校での学びが、将来に繋がるということをお話しいただき、最後まとめていただいた。
2.生徒の感想
・普段授業では学べない難しい内容に関しても、こういう機会を通して学べて良かったと思いました。(中3 男子)
・心臓の拍動の上限回数が決まっている、ということを聞いていたのが、これについてどうなのか知りたいと思いつつも、聞けなかったことは残念だった。(高2 女子)
◆トピックコード 213
「希望進路実現 ~ミスマッチをなくすために~」
株式会社ベネッセコーポレーション 東日本教育支援推進部 首都圏エリア 学校担当 藤井翔太 先生
参加生徒数 12名 報告者名 肥田規幸
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1. トピック内容等
ご自身の高校時代のお話や、大学の選び方をご紹介いただいた後、中3,高1,高2の秋には、どのような視点で取り組むべきかについて、ベネッセの資料をご提示いただきながら、ご説明いただきました。各時点での取り組み姿勢と、成績の推移や受験結果の関係が、具体的なデータをもとに紹介されていたので、説得力のあるお話でした。その後、生徒個人のワークに移りました。内容は、好きなことを軸に大学を調べる、というものです。まず自分の好きなことや好きなものについて、「~~(好きなこと)を○○する」と複数の動詞につなげてみることで、それについて多角的な仕事や取り組みがありうることを認識します。次に、各動詞を学問に結び付け、最後にその学問分野を学べる大学を探す、という流れでした。何を軸に大学を探していいかわからない生徒にとってはいい手掛かりになるワークだったと思います。ワークの最中、講師の藤井さんが一人ひとりにアドバイスやコメントをしてくださったこともあり、生徒の手が止まることがなく非常に意欲的に取り組めていました。
2.生徒の感想
・勉強する習慣を、身に着けることの大切さを知れた。
・受験が近づいていると、改めて実感できた。
・早いうちに、志望校を具体的に決めるべきだと知れた。
・好きを動詞化して、職業や学問分野を見つけるアプローチが参考になった。
◆トピックコード 214
「難日本と世界の農業の未来」
千葉大学 准教授 深野裕也 先生
参加生徒数 13名 報告者名 亀田麻記子
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1. トピック内容等
農業の歴史と、現代農業が環境に及ぼす悪影響について、そして悪影響を減らすための未来への取り組みについて、以下のようなお話をしてくださった。 現代農業は化学肥料を大量に使い、それが環境汚染の原因になっているのだが、そもそもどうして化学肥料を使うようになったかというと、昔の糞尿をたい肥として使うのは、手間がかかる上に衛生面で問題があったからだ。トラクター等の農業機械や、除草剤の使用により、手農業にかかる手間は激減し、安全な食料を大量に生産できるようになったが、それに伴い生物多様性は激減した。 技術の発達による恩恵を失わずに、環境への負荷を無くすには、農業は変わる必要がある。例えば稲作で中干をすればメタン発生量が減り、カバークロップを育てることで、化学肥料の使用を減らし、土中に炭素をキープすることが出来る。また、企業単位で有機農業を推進するなど、農業を持続可能で環境にやさしいものへと変革する取り組みが広がりつつある。 授業の最初に、農業は環境に良い印象かどうか、生徒にアンケートを取った。良い、悪いが半々に分かれ、農業に対する印象に幅があることが伺い知れた。そこからの農業は、実は環境にやさしくないという怒涛の展開で、さらに昔の糞尿を使った農業の実態を知り、生徒達にはなかなかショッキングだったようだ。未来に向けた農業の取り組みに、皆さんも参加しませんか、との深野先生のお誘いで講義は締めくくられた。
2.生徒の感想
・化学肥料・農薬・農業機械・整備された土地によって、死ぬ人が減ったり救われたりしているが、これからは、プラネタリーバウンダリー(=人類が生存できる活動領域や、絶滅率や窒素量などの限界と、今のグラフ)を考えながら、農業をする必要があると、しれたことがよかった。農業に役立つ最新の技術を知れた。昔は生の野菜が食べれなかったことも、興味深かった。
・和食にサラダがないのは、農作物を育てる肥料として、昔は排泄物を発酵させたものを使っていたために、野菜を生食できなかったからだと聞いて、技術が進歩するとで、食べられる量が増えるだけでなく、食べ方も増えていくと知ったことが、最大の収穫です。
◆トピックコード 215
「アフリカザンビアの衛生問題を自分事化する。~生理用ナプキンの分解、政策のワークショップ~」
順天高校在校生 高1・2年Eクラス生徒8名 先生
参加生徒数 27名 報告者名 川口純
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1. トピック内容等
英語選抜クラスの在校生9名が、英語探究の授業の活動を報告し、参加者にも体験していただくワークショップであった。今回の講座では、まず自分たちがザンビアの「生理の貧困」を取り上げたきっかけと、これまでの活動、そしてザンビアの現状についての講義があった。その後、ザンビアで作られている布ナプキンをミシンや針を使って製作するワークショップを行った。1枚作るのにもかなりの時間がかかり、現地での作業の大変さを知る機会となった。また、日本製の布ナプキン、日本製の紙ナプキン、ザンビア製の布ナプキン(複製品)の給水実験と、分解実験を行った。それぞれの素材や構造の違いも知ることが出来た。最後に男女を問わず、この問題に目を向ける必要性と、現地に送るスナップボタン回収についての案内があり、終了した。このグループは、生理用ナプキンを買えないことが一因となって、学校に通うのが難しい状況にある、ザンビアの女学生たちへ贈る布ナプキンを製作している団体と。協働しており、日本製の良質のスナップボタンを回収し、現地に送る活動をしている。今回のワークショップを通じ、男子生徒や保護者、他校の先生にも活動を周知し、今後の活動への動機づけも得ることができ、発表者側にも大きな学びとなった。
2.生徒の感想
・自分と同じ学年の人たちが、難民の支援を行っていて、すごいなと思いました。生理ナプキンを作るという発想にいたったのが、すごいなと思います。司会の方の話し方もわかりやすくて、聞きやすかったです。
・生理用品の布ナプキンの作り方の工夫について学び、実際にそれを手作りしました。いつも使っている生理用品の、紙ナプキンの中の仕組みが、どのようになっているのか知らなかったので、何が血を吸収しているのかを知ることができて、面白かったです。
◆トピックコード 216
「数学とアートの融合 M.C.エッシャーの敷き詰め模様実践」
多摩美術大学統合デザイン学科 非常勤講師 藤田伸 先生
参加生徒数 21名 報告者名 小町浩一
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1. トピック内容等
数学とアートの融合、というトピックでお話をいただき、ワークショップを実施した。M.C.エッシャーの敷き詰め模様(タイル模様)の仕組みを知り、実際に色紙を切って模様を作り、それを貼り付けて敷き詰め、模様作品を作り上げた。工夫とクリエイティビティあふれるワークショップであった。生徒はとても熱心に参加していた。
2.生徒の感想
・敷き詰め模様に、とても興味を持った。幾何学的な模様(デザイン/パターン)と違って、柔らかく味のある、面白いものが出来上がった。何かを作るという作業は、とても面白い。デザインすることに興味を覚えた。
◆トピックコード 217
「学びの技「ミニ探究」」
玉川学園高等部 SSH主担当、学びの技担当 矢崎貴紀 先生
参加生徒数 5名 報告者名 高谷哲司
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1. トピック内容等
「学びの技」として、調べ学習や探求学習をすすめていくための作法を、実践を交えて確認した。調べ学習や探求学習においては、基礎知識の確認をまず行い、そこからいかに論題をたてていくかが、重要となる。論題をたてたら、その論題の根拠を収集・整理し、論文・レポートへとまとめていく。参加生徒は、玉川学園のこれまでの実践を通じて練られてきた、ワークシートを活用していくことで、読み手を引き付ける論題や説得力のある主張を備えた、レポート・論文を作成していく経験をすることができた。今後、探求学習を行っていく生徒にとって、非常に有用な経験となったと考える。
2.生徒の感想
・論文の書き方について学んだ。自分に役立つものだと感じた。
・探求の具体的なやり方進め方、探究のノウハウを、具体的に知ることができた。
◆トピックコード 218
「実験講座 細胞融合を観察しよう ー細胞融合で何をしたい?ー」
日本薬科大学 教授 和田重雄 先生
参加生徒数 15名 報告者名 高野幸子
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1. トピック内容等
「バイオテクノロジー」とは何か、というお話から始まり、身の回りに存在する「バイオテクノロジーの成果」を知ってから、「細胞融合」の実験に移りました。植物の細胞には、細胞壁が存在することは、授業で習います。しかし、その細胞壁を化学処理することで溶かし、細胞壁が無くなった植物細胞を作れることに、生徒は驚いていました。
実験の班は、学年やクラスがばらばらで、3人~4人で1テーブルに座り、実験の手順書をもとに、自分たちで実験用の細胞を作り、細胞融合の現象観察にチャレンジです。オレンジ、ピーマン、ホウレンソウ等の、身近な植物の細胞を使って細胞融合を行ったことも、生徒にとっては楽しかったようです。
顕微鏡観察では、どうすれば見つけやすいか、自分が見ているものは融合現象なのかなど、周りの生徒同士で情報交換しながら、一生懸命顕微鏡をのぞいていました。担当して下さった和田先生も、生徒に沢山のアドバイスをしてくださり、生徒の質問にも気さくに答えて下さって、活気ある実験講座でした。参加した生徒は理科好きが多く、今後の探究にも生かしていきたいと言っていました。
2.生徒の感想
・細胞融合の仕組みについて知れたのはもちろん、他の参加者の、自発的に学ぼうとする姿勢に、学ぶものがありました。
・細胞結合がどのようにできているのか、実際に実験して、ただ話を聞いているだけより、体感した方が記憶に残るんだなと、改めて感じた。また講師の先生に、顕微鏡の使い方はもちろん、どうすればもっとよく見えるか、いろいろなアドバイスをいただいたので、これからの実験に役立てたいと思う。