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グローバルウィーク・ダイジェスト2017-5日目(11/8実施分)
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2017/12/07

グローバルウィーク・ダイジェスト2017-5日目(11/8実施分)

順天高等学校のSGH活動の一部として、10月27日(金)~11月8日(火)までのうちの5日間(27日、1日、2日、7日、8日)に「Global Week 2017」を開催しました。この期間、平常授業を午後2時で打ち切り、国内外の大学の研究者や大学院生、大学生、企業や団体の職員、順天高校の卒業生や在校生が、順天高校生徒や(一部中3生)教職員と共有したい話題(トピックと呼んでいます)を持って集まり、これらの話題提供者と生徒教職員が、ともに正解のないグローバルな問題について学びあう機会を持ちました。参加するトピックは生徒が主体的に選び、学校側では人数調整を行いませんでした。一部のトピックは少人数になりましたが、その分、本来の目的である「話題提供者との個人的つながりを作る」贅沢な時間となりました。今回は11月8日(水)に行われた5日目のダイジェストを各トピックの運営担当者よりご報告致します。

  • ◆昭和女子大学 英語コミュニケーション学科教授       Kevin Ryan先生
    【21st Century Skills, ネットリテラシー 】 参加生徒数 8名

 この講座は、英語力の養成とネットリテラシーを培うという二つの目的を持ったもので、スマートフォンを利用して最新のネット事情や便利なアプリを紹介するといった内容が全編英語で行われた。普段は利用しないスマートフォンを用いて学習するということで、順天生にとって新鮮なスタイルの講座となっており生徒は興奮していた。5 Web LiteraciesとしてAttention, Crap Detection, Participation, Collaboration, Net Smartsが紹介され、関連語のボキャブラリー学習をするとともに、どういった点が現代のWeb環境で重要視されているかを学んだ。Kahoot! というアプリを使い、各自のスマートフォンからこの講座で学んだことの内容をクイズ形式で答えて競い合うと形で復習を行うなど、ICTを用いた双方向の講座であった。
 生徒の感想から:今世界で使われているネットブラウザを知るなど、ネットの正しい使い方を学ぶことができました。ネットリテラシーについてよくわかりました。すごくおもしろく楽しかったです。アプリを使った授業が新鮮で、自分でも今後使いたいアプリが見つかりました。ありがとうございました。

 

◆法政大学経営学科   教授  岸本 直樹先生
【ビジネスの国際化:証券投資を例にとって 】参加生徒数 20名 

 話題提供者の自己紹介から始まり、証券の種類から始まり、投資ビジネスの基礎をまず解説した。。証券は大きく二つに分けられるそうで、ひとつは株式で、もうひとつはローンである。株式の出資者を株主と言い、株主は配当金の受け取りと株主総会での投票権をもつ。株式は買い手と売り手の合意により売買が成立する。 投資家は大きく分けると二つに分けられる。ひとつは個人投資家で、もうひとつは機関投資家である。機関投資家の例として、保険会社や投資信託が挙げられる。
 生徒の感想から:株式と債券、為替レートについて基本事項を理解できた。金融に興味を持っていた自分にとって、株式について話を聞替えたことはよかった。グローバルな投資は、リスクもチャンスも拡大するということがわかった。

   

◆東京大学     理学部 准教授    安東 正樹先生
【重力波で探る宇宙 】 参加生徒数 29名  
 東京大学の安東正樹准教授による、重力波とは何か、重力波の観測方法とは、そして重力波により何がわかるか、等を生徒向けにわかりやすくまとめてくれたトピックであった。ノーベル賞受賞の経緯とLIGOという機関の方法論を主として説明され、宇宙の彼方からの重力波という「さざ波」によって地球から太陽までの距離が、「水素原子1個分」伸び縮みするだけという、絶望的なほどの小さな波の観測に奮闘した科学者への熱意と敬意に満ちた内容であった。また、マイケルソン干渉計における波の干渉など目に見えない対象を扱うため、目に見える物理現象とのアナロジーで語る場面が多かったが、その比喩が秀逸で(例えば月の引力による潮の満ち引き)、大変簡明であった。その検出精度の検証方法においても、時折わざとノイズを入れて、ノイズを見分けられるかもチェックしているという、念の入りようには驚いた。ビッグバンやインフレーションなど、宇宙の創世記については今後の研究が俟たれるが、神岡の地下にあるKAGRAなど、最新研究の場において日本の活躍が期待されている点も、大いに興味を引かれた。

生徒の感想から:重力波は、電磁波よりも透過性が高いため、宇宙の始まりを観測できるかもしれないことに驚いた。一般相対性理論が唱えられてから、100年後に重力波が観測され、「重力波天文学」が幕を開けたというのが、アインシュタインの見えない力が働いたようで、不思議な感覚がした。とはいえ、まだ始まったばかりなので、これから研究がさらに進展し、新たな事実が発見されるのが非常に楽しみである。ブラックホールの衝突のシュミレーションがとても興味深かった。

 

◆早稲田大学社会科学総合学術院 助手 宮下 大夢先生
【大量殺戮(さつりく)から人々を保護するためにはどうすべきか=正義のための武力行使? 】 参加生徒数26名

 大量殺戮から人々を保護するにはどうすべきか、という内容の講義であった。大量殺戮とは何か、第二次世界大戦以降の大量殺戮の事例、といった基礎的な知識の導入から始まり、国際社会による取り組みの軌跡、武力介入の問題点などの説明がなされた。その後、日本は大量殺戮に対して国際社会の一員としてどう対応すべきかについて、各分野の専門家の多様な意見が紹介された。そして、それらの知識を元にして、生徒たちのグループワークによるディスカッションが行われた。武力介入ではなく人道支援を行うことも大量殺戮に対応するための1つの国際的な役割ではないか、などの意見が生徒たちから発表された。
 生徒の感想から:●日本が武力行使を行い、他国に干渉することは現実的ではないので、物資や医療での援助などを行うべきだと思った。他国での大量殺戮が起きていることを黙認するのではなく、難民の支援なども行うべきだと思う。また、それが起きないように対策などを考える責任もあると思う。●人命の保護よりも国益が優先されていると言うのは、その通りだと思った。●今、進路で悩んでいるけど、こういった分野にも興味があるので少し考えようと思った。

   

◆日本大学国際関係学部 国際総合政策学科 助教 眞嶋 麻子先生
【身近な問題から考える国際協力 武力衝突と携帯電話の関係 】参加生徒数17名

 「身近な問題から考える国際協力」という題で、私たちがよく持っているスマートフォンとコンゴ共和国について考える講義であった。実はスマートフォンに必要不可欠であるレアメタルのタンタルはコンゴ共和国が主な産地である。その国で私たちの目には見えない問題、子供兵・子供による採掘・ゴリラ絶滅の危機、における現状を認識した。私たちが普段何気なく使っているスマートフォンの裏では、レアメタルと繋がり武力紛争が起きている。そんな現実を知った後に、「今後のレアメタル、スマホ、武力紛争の問題を日本社会の中に知れ渡るようにするにはどうしたら良いか」グループを作り議論した。SNSやメディアの活用など自分たちにもできるかもしれない目線で考えることで、この講義における各自のまとめを行うことができた。
 生徒の感想から:●「資源があること」が罠になってしまうと言うことに気付いたことが今日の1番の収穫でした。小さい頃から「日本は資源がなく、輸入に頼っている」と教えられていたこともあり、資源がないことに対して悪いイメージが強かったので、今回の講座はとても新鮮でした。●名前も聞いたことのない国の状況を知れて良かったです。コンゴ民主共和国の紛争鉱物の問題も聞いたことがなかったので、自分に出来ることを他の人に共有して情報を広めていくことが大切だと思いました。

   

◆駒澤大学 総合教育研究部 教授 萩原 建次郎先生
【子ども・若者の居場所の変容と自己形成空間の再生 】 参加生徒数26名

 戦後70年にかけて日本社会が変貌する中で、社会における子供・若者の居場所(放課後等に過ごして自己形成を促す空間)も変化している。大人が良かれと思って子供・若者に与える明るく見通しのよい居場所は、必ずしも最善とは言えない。子供にとってあえて「影」となる部分、子供・若者が自由に行動できる場所も実は必要であり、その「影」の部分を認めずに「非行の温床」という理由で奪ってしまうと若者は本当の「闇」に自分の居場所を求めてしまう。よって、子供・若者・壮年・高年の世代間で緊張と対立と親和性を保ちながら相補関係となるような空間、社会と私をつなぎ公と私の緩衝地帯となる場が、いつの時代も子供・若者の居場所として求められているとの話は衝撃的でもあった。
生徒の感想から:●「善」と「悪」がバランスをとって、居場所が作られている。●「他人に話を聞いてもらう」だけでも、子供・居場所にとっての居場所ができる。●全て見えるようにするのではなく、「影」の部分を半分残しておくことによって居場所ができる。「教育的配慮」や「近代的な都市化」はすべての世代の生きづらさを増幅させる。●「監視」はされたくないけれど、「存在していること」は知っていてほしい、というこの考えはとても共感できた。●「影」を除いてしまうと、逆に「闇」を生み出してしまう。これを知った時に驚きと同時に少し納得する部分もあった。●(子供・若者・壮年・高年の世代間で)タテ・ヨコ・ナナメの多様の関係性が大切。

   

◆東京女子大学 尾尻 希和 先生 
【発展途上国研究入門】参加生徒数2名

 尾尻先生ご自身の高校時代・大学時代の留学時代に関するお話に始まり、どのように研究対象とされている国を選ばれてきたのか、キューバでの経験やJICAに依頼されたハイチでの調査活動の報告など、幅広く国際協力や異文化交流に関して情報を提供していただきました。先生のご専門は政治学ですが、専門分野のお話しではなく、現地でどのような体験や研究活動をされてきたのかなどが中心となっていたので、参加した生徒も具体的ないイメージが持てたのではないかと思います。研究活動では一日中マイクロフィルムで資料を読むなど、想像するとその忍耐力のすごさが分かります。また、途上国では研究が思うように進まないことも実感できたと思います。受講者が少数でしたが、、温かいまなざしでおはなしいただきました。
 生徒の感想から:キューバのお話は、独裁軍事政権のお話に興味を持ちました。また、当時のキューバではお店がみあたらないなど、現地に行かなければわからないお話もきくことができてよかったです。JICAの映画「クロスロード」を見たばかりなので、JICAの調査以来のお話はわかりやすかったです。調査依頼で双方がかみ合っていなかったり、事前のアポがうまくいっていなかったといったエピソードでは、行き当たりばったりのように見える中でも、研究や調査を進めていかなければならないことに驚きました。

◆認定NPO法人難民支援協会 広報部 野津美由紀先生
【日本の『難民問題を考える』 】 参加生徒数8名
 「難民」を身近に感じることをテーマに、世界の難民問題の状況と、日本に逃れてきた難民が置かれている状況を学びました。その中で、ワークショップを通じて、生徒自身が「もし自分が難民になったら」という状況を想像しました。言語も文化も異なる国へ逃げてきたとき、どのような行動をとることになるのか。泊まる場所は?仕事は?日本に住む私達が持つ「当たり前」が通用しないということに気づかされました。そして、日本は今後、難民に対してどうのような対応をしていくべきなのかを考えるきっかけとなりました。
 生徒の感想から:世界中に難民が、6530万人以上いることに驚きました。日本に難民申請をしている人が多いにも関わらず、難民として受け入れられている人がとても少ないことに驚きました。日本などの平和で安全な国こそ、難民を積極的に受け入れるべきではないかと感じました。グローバル教育といわれると、海外へ出て行くことばかりが強調されるが、それならば海外からの受け入れも同時に考えていくべきなのではないかと思いました。

   

◆秋田大学・IFMSA-Japan(国際医学生連盟)秋田大学医学部3年
    ザンビアブリッジ企画代表 宮地貴士先生   東邦大学医学部2年 星あゆむ先生   杏林大学医学部1年 谷川勇芽先生
【ザンビア共和国に命の灯を~診療所建設に向けた大学生たちの挑戦~】参加生徒数24名

 本トピックは第1部と第2部の二つの構成で行われた。第1部では話題提供者である本校卒業生宮地先生が、ザンビア・ブリッジの取り組み、ザンビア共和国の農村に診療所を建設することについての報告を行った。その中で、ザンビアは貧しいというイメージがあるが実際はどうなのか?なぜ、ザンビアの農村には診療所が必要なのか?支援のかたちはどうあるべきなのか?お金を渡すだけの支援ではだめなのか?診療所をたてたとして、それですべてがうまくいくのか?など、宮地先生は現場で活動してきた経験から多くの問いを生徒たちに投げかけ、国際支援の素晴らしさだけでなく、そこに生じる難しさもリアルに伝えてくれました。第2部では、話題提供者から高校生へのメッセージというかたちで、国際支援に携わった経験から、話題提供者の宮地先生、星先生(本校卒業生)、谷川先生の3名が発表してくれました。そこでは、現場に立ったからこそわかる、自分の足と目で確かめることの大切さ、自分から勇気を出して行動することの大切さが語られました。

生徒の感想から:●分からないことに対して、分からないからこそチャレンジしていくこと、また、将来に対し、将来何をしたいかではなく、そのために今何ができるのか、何がしたいのかを考え、今実行することが大切だという言葉がとても印象に残りました。●国際協力といっても様々なアプローチがあるのだなとわかりました。日本にいて、その国の資料、写真などだけを見て、その国を判断するのではなく、気になることがあれば自ら行動し、自分の目で確認していきたいと思いました。

   

有限会社FLYMUSIC・尚美ミュージックカレッジ     代表取締役・非常勤講師 音楽プロデューサー脇田 敬先生
【アーティストマネージメントとは?】 参加生徒数41名
 音楽ビジネスについて、CD販売が主流だった時代から、手軽に音楽を聴くことができるストリーミングなどの配信サービスが主流となる時代へと移り変わってきたことや、アーティストを売り出すためにアーティストのマネジメント全般を担当するマネージャーという職種についてのお話があった。マネージャー業務について、どのアーティストを担当することになるかというのは、会社からの指示による場合もあれば、売り出したいと思うアーティストに直談判してマネジメントを担当させてもらう場合もあるなど、音楽業界で働く脇田さんならではのお話も伺えた。質疑応答では、音楽業界に興味を持つ生徒からの「海外に日本のアーティストを売り出す際にどういった方法があるのか」という質問に対し、Spotifyなどの音楽ストリーミングアプリがきっかけとなる(海外のリスナーがSpotifyを使って日本人アーティストの音楽をストリーミング再生し、それが口コミ的に広がる)こともあるというような、興味深い話も聞けた。
 生徒の感想から:●僕は少し音楽について興味があって、今まではアーティストにしか目をやってなくて、表面のことしか知らなかったけれど、今回の講義は裏側がどのような仕事をやっているかがよく分かりました。今回でマネージャーや、その会場のプロにも興味が出ました。●最近はCDを買わなくなりました。CDを買わなくても今となっては携帯やウォークマンでいつでも聞けますが、これから先「音楽を知る、音楽を聞く」行為がどう進化するのか関心が持てました。音楽業界の厳しさを具体的に学ぶことができました。●アーティストマネージメントに限らず、色々な場面で、自分のしてきた様々な経験が生きるということを学ぶことができた。そして何より、自分の好きなアーティストの裏側の苦労、楽しみを知ることができ、音楽界への知識と関心が深まりました。

     

◆首都大学東京 国際センター 准教授   岡村 郁子先生
【異文化理解とコミュニケーション】 参加生徒数13名
 “Go Global!! 順天高校から世界へ!!”という副題がつけられたこのトピックは、異文化理解とコミュニケーションをテーマに、生徒に積極的な参加を促すワークショップを中心に行われた。日本の国際的な競争力が落ちていること、日本の常識が国際的にみると奇妙なものであること、などを、さまざまな例から説き明かしていく。生徒は楽しく学びながら、グローバル人材として求められる基本的な資質や能力を理解したことだろう。たいへん有意義な時間であった。

生徒の感想から:外国人とよくコミュニケーションをとる中で、異文化の人とどう対応すればいいか、なんとなくわかっているけど、それを言葉で説明してもらってモヤモヤしていた部分がなくなってきた。言葉だけでなくジェスチャーや背景の文化も大切だとわかった。これを機によく接していける方法を考えたい。

 

◆Kyorin University Faculty of Social Sciences Malcolm H. Field
【Introduction Research Methods (in English)】参加生徒数2名

 In this topic, research methods in English were introduced to the students. Malcolm taught them that the important quality of a researcher is to ask questions and be curious of the topic they are researching. Students learned there are many approaches to do research such as, scientific, engineering, social sciences and humanities. They also learned it is important to express their research in mixed methods using both quantitative and qualitative methods. Statistics should be used to collect, summarize, analyse and make inferences from the data. Graphs and images provide a good visual way to represent information. However, one has to be aware of the way some graphs are presented because they can be misinterpreted. Finally, students need to know it is necessary to read extensively on a wide field of topics in order to become a good researcher.
Students’ reflection: ●I think that the lesson of Mr. Field about research methods was very interesting. I enjoyed it a lot because the teacher knew how to involve us and create an active lesson. In particular, from my point of view he really made an active lesson, thanks to the atmosphere he created: he didn’t just speak and talk about research, but he made us participate through questions and tasks, in a quite an informal environment. I was surprised about the different types of research and now I think that doing research is fascinating. I have started to think about becoming a medical researcher in the future.
 ●In this Global week lecture, I learned a lot of things. I like science and it made me more interested in this subject. I was able to find out more about the way of doing research. I learned that it is possible that some information is not true. So we must verify what is true or untrue. There were some words I couldn’t understand but I enjoyed learning about research.

 

 

 

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