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グローバルウィーク・ダイジェスト2017-3日目(11/2実施分)
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2017/11/24

グローバルウィーク・ダイジェスト2017-3日目(11/2実施分)

順天高等学校のSGH活動の一部として、10月27日(金)~11月8日(火)までのうちの5日間(27日、1日、2日、7日、8日)に「Global Week 2017」を開催しました。この期間、平常授業を午後2時で打ち切り、国内外の大学の研究者や大学院生、大学生、企業や団体の職員、順天高校の卒業生や在校生が、順天高校生徒や(一部中3生)教職員と共有したい話題(トピックと呼んでいます)を持って集まり、これらの話題提供者と生徒教職員が、ともに正解のないグローバルな問題について学びあう機会を持ちました。参加するトピックは生徒が主体的に選び、学校側では人数調整を行いませんでした。一部のトピックは少人数になりましたが、その分、本来の目的である「話題提供者との個人的つながりを作る」贅沢な時間となりました。今回は11月2日(木)に行われた3日目のダイジェストを各トピックの運営担当者よりご報告致します。

Kyorin University  Writing Center, Special Lecturer  Jason Somerville先生
【Student interaction in English using smartphone apps 】参加生徒数16名

 ICTを活用した活動例として、生徒がスマートフォンを持参し、アプリケーションを活用した英語アクティビティーを行った。90分のテーマは“Theme Park“。生徒たちが積極的に話しやすいテーマだったので、各アクティビティーで生徒たちは会話を止めることなく、熱心に取り組んでいた。特にLINE(ペアで無料通話機能を使って与えられた質問項目をもとに会話を続ける)、Voice Recorder(ペアでの会話を録音し、聞き直して修正してからもう一度録音)、Kahoot!(生徒がスマートフォンを使って4択クイズに参加。スクリーンでクイズを表示し、選択は各自のスマートフォンでできる。リアルタイムでランキングが表示される)は、生徒たちが一人一台スマートフォンを持っているからこそできる活動であり、一人一人が主体的に参加し、教師と生徒の双方向性も実現できるため、今後のICT教育に活かされる、教師である私自身が大変勉強になるような内容であった。

 

神田外国語大学    学長  酒井 邦弥先生
【グローバル時代・若者たちの時代 】参加生徒数 24名        

 グローバルとは地球全体のこと。ベルリンの壁で東西南北に分かれていたが、ベルリンの壁の崩壊により分裂がなくなった。14歳から65歳のことを生産年齢人口といい、0歳から13歳と66歳以上が増えることにより、我々の負担が増えている。また、グローバル人材とは、まず自国の文化をよく理解した上で、「多言語・多様性社会」における様々な人がいること尊重し協働できる人である。最後に、英語はネイティブだけの言語ではなく、アジアアフリカ等の非英語圏の共通言語として大切だ、世界はノンネイティブが英語で議論することで回っているのだ、ということで締めくくった。
 生徒の感想から:グローバル化とあちこちで言われているが、本当のグローバルの意味と必要性が分かっていなかったが、日本を支えるためにもグローバル化が必要で、そのために、今英語を学んでいることがわかった。自文化を本当に理解し、異文化をこれからどんどん理解し、取り組んでいかなければならないと思った。英語を勉強するけれど、まずは母国語の日本語を大事にしようと思った。

 

◆法政大学     生命科学部応用植物学科、教授        渡部 靖夫先生
【世界の食糧問題を考えてみよう 】参加生徒数 24名 
 世界の食糧問題について考えるための様々な視点が提供された。グローバルな環境問題、人口爆発、食糧安全保障政策、マクロ経済政策、バイオエタノールの生産拡大など、政治、経済、社会における様々な問題と、食料は深く関係している。現在、栄養不足人口は世界で8億人と言われる。しかしながら、毎年13億トンの食糧が廃棄されているという事実がある。世界の食料問題とは、食糧供給の不足の問題ではなく、食糧の分配の問題である。食糧問題の解決のために、国際連合は継続的な努力を行っている。しかし、そこには各国間の政策や経済的利害をどのように調整するかなど、様々な問題が横たわっている。日本に話をうつせば、食糧自給率が低い日本は、世界の国々と食料生産を通じて結びついていると言える。今後、日本の食糧問題について考えることは、世界との政治的、経済的、社会的結びつきを考えることにつながると言える。
 生徒も感想から:食糧自体は足りているのに、そこにアクセスする手段がないため格差が生まれている、ということはなんとなく知っていました。しかし、日本の家庭と難民キャンプの家庭の食事の写真をみて、とても衝撃を受けました。私は、SGHの研究で教育について調べています。まだまだ研究は進んでいませんが、食糧の問題も、教育に取り込まれ、食糧問題についての知識をもった人々が増えれば、問題解決の第一歩になるのではないかと感じました。

 

東京大学 理学系専攻科物理学専攻教授  湯本 潤司先生
【波は万物の基本・三角関数の世界 】 参加生徒数24名

 身のまわりにあるもので波で表されるものにどんなものがあるか。その代表的なものに音がある。そういった音のすべてが単純な三角関数の(波の)合成で表されるということを、エクセルを用いて体験した。三角関数のグラフを書き、三角関数が波の形をしていることを確認し、また波を合成して方形波、鋸波、三角波などの波形をエクセルを用いてグラフに描く。正弦波の加えていく項を増やすことにより、グラフが角張っていく様子を見て、角張ったグラフの三角形や四角形のグラフも(鋸波も三角波も)SIN COSの波を用いて表せることを実感できる。将来的に高校生がフーリエ級数変換など興味を持ち、実社会でも様々な技術に応用されることを学ぶ第1歩となるような内容である。
 生徒も様々なグラフが三角関数の合成により表すことができるということをただ理屈で分かったのではなく、実例を自分で作成出来たことにより、高校3年生にて学ぶ微分積分での級数を学ぶ興味を持つことが出来たようである。数式やグラフだけでなく、ビジュアルを用いて(振り子の周期性などの映像をみて)数学や物理学に興味をもてた生徒もみられたようである。

 

学習院女子大学 日本文化学科 国際コミュニケーション学科 教授  荘林幹太郎先生・荒井啓子先生・清水敏男先生 
【オリンピックとその『レガシー』 】参加生徒数23名

●異文化理解と近代オリンピック…オリンピリズムの根本原則に基づき、イスラーム女性とスポーツ(ヴェール姿の多様なイスラーム女性のスポーツ事情)の問題点について学んだ。●オリンピックと芸術…1912ストックホルム大会から1948ロンドン大会まで、芸術分野も種目として採用されていた。アマチュア規定との矛盾という理由でその後、種目外の文化プログラムとして展開された。●オリンピック村の食材調達基準から「持続性」を考える…農業に視点を置き、「持続性」将来世代まで資源を残すにはどうするべきか考えた。

以上オリンピックについて全く違った視点から物事を捉え深く学ぶことにより、世界の様々な問題点・これまでの対策を知ることができた。また広い視野で物事を見ることで、個々に今後の研究材料につながった。同じものを違った視点で見ると全く別のもののように見えること、それを総合することで却って全体像が明確になること、といった「リベラルアーツ」の基本を体験した。そして「リベラルアーツ」的な態度こそがグローバル社会で求められているということが分かった。
 生徒の感想から:●美術品は今後も永遠と残るものであり、過去の記憶があらわれるということが面白いと思った。また、オリンピックでは、食事の材料までも規律があることに驚いた。日本の食料には安全性が高いと思うので外国人選手は安心できると思う。 ●1つのトピックをひとつの視点から見るのではなく、様々な分野や視点から色々な見方へ広げていくことができるとわかりました。その中で自分の好きなもの、興味のあるものを見つけ、さらに調べを深めていくことができることに改めて気づいた。

 
 

国際協力機構 JICA研究所       研究助手 佐藤 裕視先生
【日本の国際開発協力 =歴史的展開と今後の展望= 】参加生徒数18名

 日本の政府開発の目的やJICAの内容などスライドと資料を使っての説明があり、また佐藤先生が関わっているプロジェクトについて学んだ。そして、世界の開発潮流の変遷と日本の援助活動について説明があり、援助批判と問題案件に対するグループワークを行った(コタジャパン水力発電事業の問題発生の原因)。住民側とJICA側に分かれて4グループで話し合い、自分たちの意見をまとめ、発表した。結果は1:3でJICA側の意見を主張するグループが多かった。以上、JICA歴史から開発協力について学び、生徒の将来に役立つ内容であった。
 生徒の感想から:援助は相手の状況も考慮することが最大の鍵になる。援助は「絶対に良いことである」と言えるわけではない。国際協力にはメリット、デメリットがある。支援するだけで全てが終わるのではなく、その後も問題は続くということに驚いた。援助は経済だけでなく、その地域の歴史も大切にすることが大事。援助にも表と裏があり、利点や利益のみを求めると狭い視野になってしまうので、問題点を見落とさないようにするのが大切だと思った。現地での交流や住民の理解が大切だと感じた。

 

◆Talkative Travel Education Vice President     Max Fielder先生 順天高等学校2年 福田隆晃先生
【 An amazing English experience your summer in English】 参加生徒数22名

Talkative Travel Education arranges study abroad programs to study English in England. The study programs are located in London and Oxford. Japanese high school students will be able to study English with other students from around the world. In this way students can be exposed to many various kinds of English through this experience. Besides studying English students will have the chance to go sightseeing, play sports, and visit the theatres in the West End of London. I think one of the highlights of the program is staying at the dormitory of Oxford University during a part of their stay on the program. Talkative Travel Education offers an opportunity for students to improve their English, make friends from other cultures and to have an incredible time in England.
生徒の感想から:I think the lecture went really well and I really enjoyed by participating. I was quite nervous but everybody was listening properly and it really became a great lecture. When we had the mini games, everybody looked happy and it was really fun. If there will be another chance to have a lecture, I really would like to do it again. I think the idea of being able to learn English abroad in England while sightseeing in London and Oxford is very appealing to us high school students.

   

日本科学ジャーナリスト会議 理事       山本 威一郎先生
【人類にとって科学技術とはなんだ 】参加生徒数28名

 科学技術とは,科学(基礎研究)をもとにした技術(応用研究)のことであり,日本で作られた造語である。主に軍事利用のために発達してきた分野であるが,人類の日常生活にも役立つよう活用されている。 近年の科学技術の発達はめざましい。例えば,手回し計算機→電気卓上計算機→コンピューター→パーソナルコンピューター…と急速に発展し,また安価に生産ができるようになって人類の生活に役立っている(軍事用・研究用として値段を度外視した「スーパーコンピューター」なるものも開発されている)。また,スマートフォンやAIも,科学技術の発達によって生まれた道具である。人類は脳を使い,手を使い,道具を開発すること(すなわち技術の研鑽)で繁栄してきた。その結果,人類は楽をすることを覚え,肉体は退化してきたと言える。これから人類はどこに向かっていくのだろうか?
 生徒も感想から:科学技術は発展する度に何か問題が起きてしまう。私たちは常にそのことについて向かい合っていかなくてはいけないということが分かりました。いつも特に何も考えないで使っているコンピューターについて歴史的に学べたこと。正直言うとIoTやICTなどがよく分からないけど,単語の意味が分かったのが一番良かった。AIが進化する中,2045年に一人の脳がAI化できること,特異点が来るかもしれないことが分かった。科学技術は人がいて初めて成り立つものであると思いました。科学技術が進化することによって人類は便利になるが,仕事が無くなってしまうなど,決して全てが良いことではないということを思いました。

 

◆東京電機大学 工学部 機械工学部 教授  齋藤 博之 先生
【 機械工学と夢の材料】参加生徒数22名

 始めに、小学生時に扱った滑車を組み合わせたものを見せ、世の中の大抵の機械的道具がこれを基本とした仕掛けでできている事を説き、決して今日の最先端技術が特異なものでなく、万人に新技術の開発のチャンスがある事を示された。そして、本題である道具(機械)の材料の話へと展開された。まず、身近なもの(硬貨)、歴史的仏像や現代の機械類(スマホ,航空機のボディ)の材料である、金属、FRPなど特徴及び材質の分析を教授され、自然界に存在する利用できる特性や、それを活かした材質(表面張力・形状記憶を有する金属など)の説明をされた。最後にこれらの発明、開発の根底に、空想科学小説などに出てくる、人類の夢が原動力となっている事をお話された。
 生徒も感想から:道具や機械に使われている材料がその部品に少しでも合っていないと、そのほんの僅かなずれが、大きな事故などにつながってしまう事を知る事ができました。興味はありましたが、自分の進路つながるとは考えていませんでした。しかし、今回、専門の先生の講義を受けてより深く学んでみたくなり、これからの進路を決定していく上で、とても良い経験になりました。

 

 

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