お知らせ

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グローバルウィーク・ダイジェスト2017-2日目(11/1実施分)
順天高等学校のSGH活動の一部として、10月27日(金)~11月8日(火)までのうちの5日間(27日、1日、2日、7日、8日)に「Global Week 2017」を開催しました。この期間、平常授業を午後2時で打ち切り、国内外の大学の研究者や大学院生、大学生、企業や団体の職員、順天高校の卒業生や在校生が、順天高校生徒や(一部中3生)教職員と共有したい話題(トピックと呼んでいます)を持って集まり、これらの話題提供者と生徒教職員が、ともに正解のないグローバルな問題について学びあう機会を持ちました。参加するトピックは生徒が主体的に選び、学校側では人数調整を行いませんでした。一部のトピックは少人数になりましたが、その分、本来の目的である「話題提供者との個人的つながりを作る」贅沢な時間となりました。今回は11月1日(水)に行われた2日目のダイジェストを各トピックの運営担当者よりご報告致します。
◆上智大学 外国語学部英語学科長 和泉 伸一先生
【世界における英語の役割 】 参加生徒数31名
本講座を受講した中学3年生から高校3年生、そして「教員」のそれぞれに学びのある90分間でした。まず冒頭ではこの講座がほぼ英語で行われること。もう1つは”lecture”ではなく、 “discussion with your partners” が中心であることが伝えられた。それを聞いた参加者の少々こわばった顔は、数分後にはまるで上智大学の英語学科の学生の方のように笑い、真剣に議論する顔に変わっていました。
まずは、英語はどんな人によって使われているのか、また英語がなぜ世界中で使用させる言語になったのかを学びます。そして、驚くことに「英語を母語とする人」よりも、多くの日本人のように「英語を外国語として話す人」の方が多くなることを知ります。将来、私たちはアメリカ人のような「英語母語者」ではなく、メキシコ人など私たちと同じように「英語を母語としない人」とコミュニケーションをとる可能性が圧倒的に高くなります。ならば「ネイティブのように話せるようになる」ことよりも、日本人として「日本人アクセント」が残りつつも「話す内容」を大事にした方が良いのではないか。そんな和泉教授の話に一生懸命耳を傾けていました。そして最後には質疑応答の時間もありましたが、何人もの生徒が質問やアドバイスを求めて列を作っていました。 この講座を通じて、参加者たちが自分と英語の関わり合いについて向き合うことができた「120分」でした。
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◆明治大学 政治経済学部 専任教授 井田 正道 先生
【ニュースから学ぶ世界の選挙】 参加生徒数23名
「ニュースから学ぶ世界の選挙」と題し、先日行われた衆議院選挙や昨年のアメリカ大統領選挙などを例にしながら、各国の選挙について比較しつつ、世界の選挙制度や投票率、さらには選挙と政治の関わり合いについての詳しい解説を受けた。投票率が高いのがはたしてよいことなのか、投票率が低いのは悪いことなのか、投票率に関する国による考え方の違い、選挙投票は自由であるべきか、それとも、国民の義務であるべきなのか、実際に米国で2年間研究活動をされてこられた教授が現地で見てきたことも交え、グローバルな視点から論じてくれた。民主主義とは何か、大統領制と議院内閣制それぞれのもつ良い点、悪い点についても解説もあり、選挙制度からその国の国家状況を理解することができるということがなかなか興味深い。
生徒の感想から:世界各国の政治制度の仕組みが分かって良かったです。選挙制度によって国民性が反映されるのが面白いと思いました。たとえ投票率が高かったとしても、きちんと自分の意見を持っている投票ではないと意味がないと分かった。あと半年で選挙権を得るので、しっかりと政治に関心を持って投票したい。任期満了で選挙を迎えたのは、三木武夫政権時のみで、それ以外は党利党略に基づく解散選挙であったこと。オーストラリアは義務投票制であるということなどを知って考えさせられた。
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◆NPO法人スポーツセーフティージャパン アスレティックトレーナー 一原 克裕先生
【チャンスをつかむ行動力とマインドセット~スポーツ大国アメリカでの経験から伝えたいこと~】参加生徒数32名
4人1組で「私を表す3つのキーワード」を記入。グループで自己紹介を行った。どのようにしてマリナーズのアスレティックトレーナーになったのかというお話を聞き、アピールの方法に驚かされた。入れ替わりが激しい世界で生き残ることができたのは何がポイントだったのかを話していただいた。チャンスを掴むためにどんな要素が必要かを一人一人付箋に記入しグループで出し合い近い要素をまとめた。他のグループへ移動しジグソー法でディスカッションし、自分のグループへ戻りまとめをした。3グループが発表する形をとった。様々な要素が出たがまずはAction!やるかやらないかがが重要であるとの話があった。そしてその行動は、今できることで決めるのではなく、なりたい自分をイメージして行動することだとした。Act Now Change the World.
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◆日本ハビタット協会 プロジェクトマネージャー 太田 祥歌先生
【教科書プロジェクトinラオス~多民族国家ラオスの教科書支援 】参加生徒数20名
日本ハビタット協会とは、世界中の人々が安心して暮らせる町づくりを支援している団体である。都市化・災害・紛争等により、居住環境が悪化した状況を改善する活動を展開している。世界の中でも貧困問題が深刻な国「ラオス」の「ルアンパバン」という町で、貯水タンクの設置・給食提供・教科書提供などを行っている。政府・教育局の支援が不十分であるため、ある地域では小学校53校に対して中学校が3校しかなく、中学までの義務教育がきちんと浸透していない。成人の識字率は80%である。ある学校では、校舎は竹で作られており壁はなく雨期になると3カ月も休校になってしまう。学校で毎年同じ教科書を貸しまわしているが、5人に一冊しかない学校もある。そのため自宅に教科書が持ち帰れず、宿題を出したり、自宅で学習したりすることが難しい。そこで、この団体はクラウドファンディングや使用済み切手、書き損じはがきなどで資金調達し、今までに21校に一冊300円の教科書を1500冊届けた。教科書の紙は森林を伐採し紙を作るのだから、日本でも本や教科書を大切にすることは、資源を守ることにもなる。
生徒の感想から:小学校が53校に対して中学校が3校しかないので、中学に行きたくても行けないし、小学校卒業しすぐ仕事をするのは日本では考えられないことであった。これでは、識字率も上がらないと思った。教科書が5人に一冊しかないので、授業中不便なだけではなく、自宅に教科書が持ち帰れないので宿題ができないし、そもそも先生が出すこともできないのが驚きであった。教育にお金を掛けない政府は、どこにお金を掛けているのであろう。日本の団体がよくそこに気がつき、教科書を購入する運動を初めて起こした人はすごいと思った。
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◆麗澤大学 麗澤大学国際協力団体 Plas+
【~私たちがカンボジアとフィリピンにハマっちゃった理由~ 】参加生徒数12名
麗澤大学の自主企画ゼミとして認定されている団体であるPlas+が、カンボジアのトム・オー小学校で塀の建設プロジェクトを行っている。まず、Plas+の活動場所のカンボジアやフィリピンについての基礎知識を説明し、その後、生徒を3グループに分けグループワークを行った。ピジョン(子どもを大人関わらず村を清潔に保つことに・・・・)を出発点にして①長期目標を具体化していく、その後長期目標に辿り着けるように②活動内容、③直接結果を理論的に組み立てるロジックモデルの作成を行った。作成後、各グループの①活動内容②直接結果③長期目標を発表した。最後に、Plas+が実際に計画実行しているトム・オー小学校の安全な学び場つくりのロジックモデルを紹介してもらった。
生徒の感想から:プロジェクトの立て方①ビジョン②長期目標③活動内容④直接結果の繰り返しであるが有期性期限がある。計画を立てて、足りない部分や完全な部分を見つけ実行すること。1つの行動をするためには、目標や結果などを踏まえた上で行うことが大切。他の国の1つの問題に関して考えることで日本の問題につながることも分かったし、その大変さが分かった。
国際協力は、ただ物事を改善するだけでなく、現地の人々の理解してもらうことが大切だと分かりました。自分でもできることがあるかもしれないとわかった。
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◆杏林大学 副学長 PAUL SNOWDEN先生
【Lost in Transcription 】 参加生徒数5名
Prof. Paul Snowden, Vice President of Kyorin University, gave a lecture on the theme “Lost in Transcription” inspired by the film “Lost in Translation”. He began the discussion on the problems that usually arise during translation, which is the loss of the cultural background embedded in a certain word, such as the Japanese term “sashimi” translated into “raw fish”.
Subsequently, he proceeded to the main topic, transcription, which means the changing of one spelling into another spelling. He mentioned that the problems concerning transcribing usually creates a confusion to both local people and the foreigners, in particular the use of roman letters for writing Japanese and Japanese characters for writing English. He stressed that the writing system of a language may not be suitable for other languages and it is necessary to be curious about how new expressions are pronounced in English or other languages.
The lecture was conducted in both English and Japanese to make it more comprehensible for the students. The discussion also seemed to awaken the interest of the students to learn different languages as Prof. Snowden emphasized how attractive and powerful a language is. It may be confusing but that is where its beauty transpires.
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◆北里大学 医療衛生学部健康科学科教授 清 和成 先生
【環境問題とサスティナビリティ】 参加生徒数19名
「環境問題とサスティナビリティ(持続可能性)」と題して、環境問題の現状や背景、それに対する世界の姿勢についての概要を、クイズを交えながら教えていただきました。まず環境問題を歴史的に見ていくと、経済の発展とともに公害問題から地球環境の問題、目に見えづらい環境ホルモンや多様性の問題へと変遷している様子が見えてくることを学びました。その後はPM2.5、温暖化、不衛生な水を使う環境、砂漠化・塩類化について、具体的な被害や概要を教えてもらいました。地球温暖化に伴う健康への影響は大きくなる一方で世の中は温暖化を防ごうとする姿勢から対応しようとする姿勢へと大きく方針を変えてしまったことや、不衛生な状況でしか生活に必要とする水を取得できないでいるネパールの地域の現状、経済発展と地球環境への影響のバランスなど、各地でそれぞれに抱えている問題の大きさに驚かされるばかりでした。環境問題について考える導入としてたくさんの課題を与えられた時間となりました。
生徒の感想から:環境問題がメディアなどに取り上げられ、重要視されてはいるが実際の話を聞いてみると解決する見込みが無いように感じた。何に、どのように取り組めば解決するのかが非常に難しいが少しでも良い方向に進めるような策を考えたいと思った。また、自分が今までに知ることのなかった環境問題を知り、とても衝撃的だった。まずは世界ではどのようなことが起こっているのかを調べようと思った
◆株式会社バグ・コーポレーション 代表取締役社長 山口哲一先生
【音楽業界の『今』と『未来』 】参加生徒数36名
日本(世界)の未来を担う中高校生にむけて、IT技術の発達および普及によって旧来の常識やビジネスモデルが変わることを、音楽業界の話にとどまらず熱く語っていただきました。
柔軟な考え方を持ち、既存の価値観に固執しないこと。ただし、古い価値観の人を無視することなく、理解する努力をすること。IT技術の発達を受け入れ、変化を恐れないこと。今、社会で起こっていることを冷静に分析し、未来を予見すること。多様な価値観を知るために積極的に海外にでていくこと等これからの世界を切り開く多くの要素を提案していただいた。
生徒の感想から:インターネットの使用に少し偏見(犯罪に利用されるなど)を持っていたところがあったので、変化を恐れすぎるのは止めようと思いました。自分が社会人になる頃には、インターネットとともに社会を良くしていくことを考えるんだなと気づかされました。
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◆日本ジャーナリスト会議 理事 山本威 一郎先生 順天高校講師 神林 絹枝先生
【 黒い太陽を追って~太陽と月が織りなす天空の奇跡】参加生徒数36名
「黒い大陽を追って~太陽と月が織りなす天空の奇跡」という題目で、講演をして頂きました。まず初めに、当校の教員である神林絹枝先生から、今年8月21日にアメリカの特定地域でご自身が観測した皆既日食の観測写真を、皆既日食の説明とともに見せて頂きました。次に、山本威一郎先生から月の起源や太陽・月・地球の奇跡的な距離関係によってはじめておこる天体の現象を分かりやすく説明して頂きました。皆既日食の動画で皆既日食を疑似体験し、皆既日食の不思議や魅力を十分に感じることができました。
生徒の感想から:夜じゃなくても皆既日食中は星が見える事を知った。一瞬で暗くなる皆既日食を体験してみたい。月は27.3日周期で公転し、満月は29.5日であることを初めて知った。同じ場所で金環日食・皆既日食が見られるのは、350年に1度と聞いて驚いた。月が現在も地球から遠ざかっていることを知った。硫黄島の皆既日食の映像を見られてよかった。
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◆朝日新聞社 報道局デスク 北郷 美由紀
【SDGsでつくる自分たちの未来 】 参加生徒数5名
SDGsとは国連が定めた2030年までに成し遂げたい「持続可能な開発目標」であり、17分野の169ターゲットにわたる。日本には必要のないものと思いがちだが、日本は「ジェンダー平等」「気候変動対策」などで低い評価を受けている。実は「世界の問題の解決」は日本に住む「自分たちの暮らしの維持・改善」にもつながる。途上国と先進国の問題を別に考えるのではなく「1つのバスケット」に入れて考えることが重要である。日本人が使っているもの、食べているものの多くは海外の労働者によって作られている。大きなことはできなくても、何かを購入したり、使ったりする際に、自分と世界とのつながりを想像することが持続可能な開発につながっていく。「将来」のこどもたちに何を残すかという軸と、「今の世界」をどう変えるかという軸をもつことが重要である。
生徒の感想から1:世界の問題は自分にもつながる、まず知ることから始めることが大事だということに気がつきました。大きく広い問題を解決しようとするのではなく、身近で自分だけでも簡単にできるようなことからやってみようと思います。
生徒の感想から2:実は日本も貧困に悩む1つの国だということが分かりました。貧困という1つの言葉でまとまるのではなく、それに対する原因がたくさんあることも分かりました。何とかして17分野の目標が達成されるように、国民全体で取り組んでいかなければならないと感じました。
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