お知らせ

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リンゴの木を植える?!( 3/18 第3学期終業式より)=大学合格実績速報も掲載=
コロナの一年間
本日の終業式をもって本年度は終了となりますが、この1年間はあらためて言うまでもなく、コロナとともに過ごした1年間でした。昨年の3月2日より全国の学校が休校となり、昨年の3学期の終業式は行えませんでした。
4月になっても、入学式も予定通り開催できないなか、緊急事態宣言となり、体育祭も行えないまま遅めの夏休み。そしてなにより、高等部の海外研修がすべて中止、中等部のそれぞれの旅行的行事もすべて中止せざるを得ない状況になってしまいました。
しかし、新たにできたこともあります。まずは休校期間に始まったオンライン授業、そして文化祭もオンラインで開催して随分と盛り上がりました。さらにグローバルウィークや探究発表会なども、オンラインを用いることで大きな成果をあげたと思います。
と言う具合に、この1年間はオンラインに随分とお世話になりましたが、それは単にICT機器を活用できたということだけではありません。皆さんは困難な状況に遭遇して、しっかりと創意工夫を発揮し、解決していく力がかなり身についたのではないでしょうか。
卒業生達の健闘
さて、そのような中で最も苦労したのは、明日卒業する、高等部の卒業生の皆さんでしょう。大学入試改革の初年度にあたり、これまでとはいろいろと違うことがありました。それに加えてコロナ対策をしながらの受験勉強は、本当に大変だったと思います。
大学入試の何が変わったか、一言でいうと、課題を解決する力があるかを多面的・総合的に評価する入試に変わったということです。もちろん基本的な知識も十分必要ですが、それをしっかり活用できなければ意味がありませんから、当然なことだといえます。
そして高等部3年の卒業生は、オンライン授業以外でもオンラインのお世話になりました。課外講座の授業は対面だけでなく、オンラインで何度も見直すことができるようにしましたから好評だったようです。そして、それらの確かな成果もありました。
国公立大学では東京大学2名をはじめ、現在24名が合格しています。これに後期日程の結果が加わることになります。私立大学では早稲田大学に22名をはじめ、多くの大学に合格者が出ています。卒業生の健闘を讃えたいと思います。

司法試験に合格した加藤さんと陸上部顧問の藤本先生
卒業生OGの健闘
ところで、コロナのために部活動も思うようにはできない1年でしたが、普段から体力を鍛えることでは、本校の陸上部のみなさんは人一倍頑張っています。その陸上部に所属して、5年前に卒業した一人の先輩OGが先日、学校に報告に来てくれました。
来校したのは加藤明日美さんで、本校を卒業して現役で慶應大学法学部に進学しました。そして大学在学中に司法試験の予備試験を通り、大学を卒業した年に合格したというのです。司法試験というのは弁護士や裁判官になるために必要な資格試験で、最も難しいものです。
いつ頃から、そのような道に進むことを考えていたのか尋ねると、高校生の時からだと教えてくれました。走りながら将来を考えることもあったそうですが、高2の時にお母さんを病で亡くしてからも、大学に進んでからも4年間、選手として試合にも出場していました。
日々20キロメートル走るのが常だという陸上部ですが、加藤さんは常に勉強もよくしていたと、顧問の藤本先生から伺いました。この先輩は人生の走り方も実にしっかりしていました。困難に挑戦する卒業生の健闘も讃えたいと思います。
リンゴの木を植える
最後になりますが、この1年間、困難の元となったコロナウィルスは、初めはおそらくたった一つの変異ウィルスだったのではないかと思います。私たちの生きている世界は、いつでも無数の困難が潜んでいる世界なのかもしれません。
10年前の3月にはあの東北大震災があり、多くの方が犠牲になるとともに、原発事故による放射能の拡散事故がありました。地震災害は足下の大地がゆっくりと移動していることが原因で起こることは分かっていますが、この自然現象を止めることはできません。
それでも、だからと言って、あたふたとしていることはないのです。16世紀のドイツの宗教改革者として知られるマルチン・ルターは、「たとえ明日、世界が終わりになろうとも、私はりんごの木を植える。」と言ったそうです。
どんなに過酷な境遇であっても、与えられた環境の中で精一杯生き、成長していこうとすること、そこに希望が生まれる、新しい世界が生まれると言わんとしている気がします。皆さんにとってリンゴの木は、一体何でしょうか。
この1年、皆さんお互いに大変お疲れ様でした。新年度に向けて、しっかりと自分のリンゴの木を植えてまいりましょう。