お知らせ

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Z世代は社会課題に向かう( 1 / 7 第3学期始業式より )
社会貢献型の探究が増えた
2学期の終業式では、高等部の英語系Eクラスが取り組む探究プロジェクトについて触れました。いうまでもなく、探究活動は必ずしも社会貢献をする活動ではないのですが、社会貢献型の探究プロジェクトに取り組むことが多くなっているようです。
本日の読売新聞にも、Eクラスの別の探究プロジェクトが大きく掲載されています。子ども食堂の寺子屋活動として、高校生が小中学生に英語をオンラインで教える活動なのですが、今のコロナ下での社会貢献活動として注目されているようです。
教科としての探究をしている理数系のSクラスでも、以前、アフリカの子供達に対して科学を学ぶ支援をするプロジェクトがありました。様々な科学実験の映像を制作してWEB上で視聴してもらうという、オンライン授業のさきがけのような探究活動です。
また現在、Sクラスの有志が北区や日本薬科大学、フジパンなどと地域の社会貢献に関わるプロジェクトを進行中のようです。そのプロジェクト名は「渋沢栄一プロジェクト」ということです。社会貢献型パン作りに高校生ならではの視点で関わるのも、楽しいチャレンジかもしれません。

読売新聞(令和3年1月7日朝刊)より
渋沢栄一の驚くべき活躍
ところでその渋沢栄一さんは、今年、最も話題になりそうな歴史上の人物ですが、北区とも深く関係があります。実は、北区の飛鳥山公園の中には3つの博物館がありますが、その一つは渋沢史料館です。渋沢さんは晩年、その史料館周辺を住まいとしていました。
とはいえ、渋沢栄一っていったい誰?という感じでしょうか。天保11年に生まれですから、本校創立より少しだけ後ですが、日本の近代化に驚くべき活躍をした人です。国立第一銀行(現在のみずほ銀行)を始め、東京ガス、王子製紙、帝国ホテルなど500社以上の設立に貢献したそうですので、本当に驚きます。
今で言えば、アントレプレナー(社会起業家)ということになるでしょうか。多くの会社を創っただけではありません。一橋大学や東京経済大学、日本女子大学の設立や、日本赤十字社や聖路加国際病院の設立など、教育分野、福祉分野にも幅広く貢献しています。
また渋沢栄一さんといえば、「論語と算盤」という本を書かれたことでも知られています。この書名のとおり、経済活動は道徳に基づいていなければいけないということを原理原則にする。それがモットーだったようです。だからこそ、多くの人からの信頼も得て、様々な活躍ができたのでしょう。
渋沢栄一さんは、2024年に新しい1万円札の絵柄として登場します。論語と算盤、心と頭の両方が大切であることをこのお札は伝えてくれそうです。

渋沢史料館(北区・飛鳥山公園内)
Z世代は社会課題に向かう
さて最後に、皆さんの親御さんの世代はX世代でしょうか。X世代はカナダの小説「ジェネレーションX」からとったもので、1965年から80年までの生まれの世代ということです。ちなみにY世代は1981年から1995年生まれの人、その次の10歳から20歳代前半の皆さんは、Z世代というのだそうです。
なんと、そのZ世代の皆さんが社会課題に最も関心がある世代だということがわかってきました。つまり、渋沢栄一さんを見習うような人がこの中にもたくさんいるのではないかと思われます。少なくとも、未来に向けてSDGs(Sustainable Development Goals)をもっとも理解している人たちかもしれません。
SDGsは国際連合に加盟している全ての国が賛同した、2030年までに解決しようという世界共通の近未来の課題です。持続的な社会を築くために、17の分野に169のターゲットを立てています。いずれもその解決は簡単ではありませんが、放っておけば必ず、自分たちに甚大な悪影響がある。それをZ世代の皆さんは一番わかっているのかもしれません。
高校3年の皆さんはいよいよ大学に進学し、やがて社会人として活躍する日が最も近いのですが、必ずやこのSDGsのいくつかに関わる仕事につき、その問題に関わることになることでしょう。社会貢献的な課題探究力は皆さんの未来を拓く力になるものです。
今はまだ、コロナという1つの問題であたふたしているような令和2年度の最後の学期ですが、現在の混乱は未来を変える大きな力になる可能性があります。大学入試も乗り越えて、将来にわたって万事が益となるように願いつつ、Z世代の皆さんの課題探究力に期待しています。

朝日新聞(SDGs2030 で変える)資料より