お知らせ

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イチローの自己実現( 4/3 第1学期始業式より )
新年度のはじまり
朝はまだ少し寒いくらいですが、そのためでしょうか、今年の桜はまだまだ見ごろという中で今日は始業式、そして明日が入学式です。皆さんはもとより新入生の諸君も本校のそれぞれの学年の一員として、新しいスタートの季節となりました。
明日入学する新入生は、中等部は例年より多い126名の4クラス。高等部は例年より少ない191名の6クラスということになっています。ですから高等部の新入生は、内進生と外入生がそれぞれおよそ半数ということになります。
それにしても、新元号が「令和」に決まりましたので。施行される5月以降で言えば、令和元年の始業式、そして入学式ということになります。何かしら新しい時代を感じさせてくれますね。元号を改める改元にはそんな意義があるかもしれません。
新元号のはじまり
新元号についていろいろと予想されていました。言い当てた人がいたかは分りませんが、この令和という名前を持つ人は結構いるのだそうです。明治・大正・昭和・平成のいずれも学校名や会社名にも使われていますが、令和もそうなるでしょうか。
しかし、元号は日本独自のものですから、日本国内であれほど関心が寄せられた割には、世界では全くというほど話題にはならなかったのも当然です。元号で時代を区分するのは、世界の人から見ると不思議な慣習に思えるかもしれません。
ちなみに本校の創立は天保5年です。天保から明治までは34年しかないのですが、7回も改元されています。現在とはずいぶん違う決め方ですから、天保5年だけではよくわからないので、1834年ということも付け加えることが多くなります。
あらためて確認すると、運転免許証や健康保険証は元号標記ですが、キャッシュカードやパスポートなどは西暦標記ですね。いよいよ来年に迫ってきたオリンピックはやはり2020年ということで表現する国際通用性が必要です。
国際通用性の課題
随分と前置きがながくなりました。新元号は国内のことですが、日本も世界の一部ですから、世界の社会と無関係ではおれません。国際通用性ということについて、この3月の年度末に考えさせられたことがいくつかありました。その一つはGAFAです。
GAFAというのは、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンの4大情報企業のことですが、そのネット情報の量が膨大になり、しかもネットには国境がありませんので、各国家があまり規制をかけられないでいることが問題になっています。
そして平成の30年間での最も大きな変化は、このICTによる情報革命だったといって間違いないのですが、その結果として、世界中の人々の個人情報などが今やGAFAに握られているのではないかと心配されているわけです。
ちなみに、ネット上で「イイネ」を60回ほどすると、ほぼ8割の確率で、その人の性別や嗜好など、個人の属性を特定できるのだそうです。Facebookの元の仕組みをハーバード大学時代に考えたザッカーバーグはなかなかすごい方ですが、日本人や日本企業は、このような世界に通用する仕組みづくりがあまり得意ではありません。
もしかすると、元号の様に国内だけで通用するものを大切にするという、日本的な文化や習慣が、それはそれで国内では良いとしても、国際的に通用する仕組み作りを苦手にしている日本の課題と無関係ではないかもしれません。
イチローの自己実現
そこで、もう一つ是非取り上げたいのは、日米で活躍したイチロー選手のことです。彼の引退宣言は日米で大きく報道されました。彼は日本で9年、アメリカで19年間プロ野球選手として大活躍しました。その彼が語る言葉はいつも心に響きます。
まさに日本国内だけでなく、アメリカというスポーツ大国でも認められた生き方は、ネット情報の世界ではなく、スポーツの世界で自己実現を極めた一人の人間として、国際通用性のあるモデルだといっても過言ではないと思います。
日本国内でも、世界でも通じる活躍をするにはどうすればよいか。大きな組織でも、一人から始めるものですが、その一人の人間としての自己実現、つまり自分の資質・能力を最大限に発揮する生き方、それをイチロー選手の言葉から学んでおきましょう。
「評価されるのは苦しい。はかりはあくまでも自分の中にある。はかりを使って自分の限界をちょっと超えていく。その積み重ねでしか自分を超えていけない」。と、飾らず地道なことの勧めなのですが、もう何の説明もいらないほどシンプルですね。
もうここで終わってもよいところですが、イチローに限らず、自己実現は皆さん一人一人の共通の課題です。その「自己実現をする人」について、アブラハム・マズローという心理学者が8つの特性をあげています。これを最後に紹介して終わります。
このほぼ全てにイチロー選手は当てはまる気がしますが、皆さん自身はどうでしょう。

マズロー博士による欲求の5段階説で「自己実現」は成長の欲求として最上位にある。
<自己実現する人の8つの行動特性>
① 自己にとらわれず、無我夢中になる。
② 不安や恐怖のために自己防衛に陥らず、成長への選択を行う。
③ 表面を装わず、真実の自己に誠実に答える。
④ 自分自身に正直となり、その自分に責任をとる。
⑤ 自分自身に耳を傾け、他人とは異なる自分に正直であろうとする勇気がある。
⑥ 知性を用いて、自分がしたいと思うことをよりよく成し遂げようと努力する。
⑦ 買い求めたり、他人からもらったり、探し求めたりして得ることのできない真善美の至高体験がある。
⑧ 自分が何者であり、誰であるかを発見し、自分がどこへ行き、使命が何であるかを見出す。