お知らせ

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最も大事なポリシー( 3/20第3学期終業式より)
卒業生たちの成果
一昨日卒業した高等部3年生242名は、昨年よりも36名少ない人数でしたが、国公立大学では、現在の前期試験の結果をみると、昨年同等の合格者数となっています。その一方、私立大学では、とくに難関私大の文系学部で入学定員の厳格化などの影響を受けていますが、GMARCHの6大学を見ると、昨年と同数程度の合格者数となっています。
進路状況だけでなく、今年の卒業生は、全員が3年間SGHの活動をした学年でしたから、その成果は様々なSGH発表活動で表彰された生徒が、卒業式でも功労賞という形で表彰を受けています。英語力を高めることも目標の一つでしたが、英検の結果では2級以上が67%、そのうち準1級以上は8%ということで、当初の目標をほぼ達成しています。
SGHの活動成果はそれだけではありません。海外研修を中心に取り組んだ課題研究、それは自らが考えたテーマについて、いろいろな人と取り組むワークショップやフィールドワークですから、いつの間にか主体性や多様性、協働性といった力を育んでくれたようで、一人一人の卒業生が溌剌としていたことと無関係ではない気がします。
以前に何度かお話ししましたが、各大学がアドミッションポリシー、入学者の受入方針を明確にし、そのポリシーに沿って学ぶ意欲のある志願者であるかどうか、今まで以上に選り分けるようになりました。そのポリシーで共通しているのが、実はこの主体性や多様性、協働性であり、これらはすべての大学が求めているものです。
アドミッションポリシー
何故この三つが共通して求められているかというと、あらためていうまでもなく、社会が変わってきたためです。大学を卒業した後で働く社会では、一人一人が受け身ではなく、先ずは自ら課題を見つける。そしていろいろな人の考えや力を集めて、みんなで協力しあわなければ、解決できないことばかりだということが分かってきたからです。
しかし大学はたくさんあり、日本だけでも760以上、アメリカでは3000以上の大学があって世界では数えきれないほどです。その一つ一つの大学にそれぞれのアドミッションポリシーがあります。それを知らずに入学したためでしょうか、せっかく入学したのに、どうも自分には合わないということで他の大学を受け直す人も出ています。
ちなみに今年は残念ながら、東京大学の合格者はいませんでしたが、そのアドミッションポリシーにはどんなことが書いてあるでしょうか。大学全体のポリシーで、期待する学生像の後半には「入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,・・・諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究する・・・洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。」とあります。
今日はこの後、アメリカ最初の大学であるハーバード大学・同窓会による、ハーバードプライズブックの贈呈式がありますが、実はハーバード大学でも同じようなことを言います。「そもそも、筆記試験の得点で合否を決定する方法は用いません。試験の得点が低くても、教材をすべて学んでいるが創造性が低く、異なる領域を統合することができない学生より将来有望である可能性があるからです。」ということなのです。

東大・本郷キャンパス(赤門)
最も大事なポリシー
ただそれだけではありません。もっとも大事なことがあります。ハーバード大学を始め、アメリカの有名な大学のアドミッションオフィスに出かけていって、直接伺ったことではいずれも「大学と社会に貢献できるか」ということが、大学の使命と理念からして、最も大切な学生受け入れの判断基準だというのです。
東京大学のアドミッションポリシーでも、その最初に「大学の使命と理念」という風にあって、だいたい同じようなことが書いてあります。でもアメリカの各大学はもっと明確ですね。大学の使命は学生が研究し、将来社会に貢献するということなので、大学と社会に貢献できるかという判断で入学者を決め、必要ならば奨学金も出してあげるわけです。
ハーバード大学はもともと、キリスト教の牧師さんを教育する神学部から始まった文系の大学ですが、今では医学部や工学部といった理系でも世界のトップクラスの大学として有名です。世界の大学ランキングでも常にトップクラスですね。ちなみに東京大学は年々順位を下げていて、今年は42位という具合でした。国際化の点で遅れているためです。
さて、第三学期の生活目標は「将来を考えた生活をする」ということでした。みなさんどうでしょうか。私は「大学と社会に貢献」できますと言える人になるようにしているでしょうか。大学に入れてくれることを求めるのでなく、大学から求められる学生になることをめざして、将来を考えてここに立っているでしょうか。
皆さんの学校生活の日々の取り組みが、新年度にさらに将来を考えたものとなることを期待しています。

ハーバード大学 (狭き門?)