お知らせ

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未来はややこしや( 1/7 第3学期始業式より )
これからの10年
新年あけましておめでとうございます。今年は平成31年ですが、この4月には新しい元号が発表され、5月から新元号に変わりますので、それまでは「平成」最後の年ということになります。さらに、来年の2020年には2度目の東京オリンピックが開かれるなど、日本ではいろいろと新しい時代を予感させる事柄が続きますが、果たしてどのような社会になっていくのでしょう。
世界を見てみると、2030年頃をめどに社会の転換点がやってくると考える人が多いようです。たとえば、日本が前の東京オリンピックの時以来加盟している、経済協力開発機構のOECDでは、2030EDUCATIONなどと言って、2030年以降に必要な教育のモデルづくりをしています。そして、そのモデルづくりはいまも続けられ、ようやくできつつあります。
いずれにしても、日本も世界もこれからの10年ほどが、大きな変化に対応する上で、すごく大事だと言うわけですが、それでもこれからの10年ほどで、一体どのように変わっていくのか、また変わっていくべきなのかを、誰も確実なことを言えないというのが正直なところのようです。
未来はややこしや
たとえば、1月3日の読売新聞の一面記事をみると、「未来はややこしや」というような見出しで始まっていました。それでも「人のちから」でなんとかする以外にないということなのでしょう、その記事には4人4様の意見が載っています。少しだけ紹介してみます。
先ず1人目は東京オリンピック・パラリンピックの開会式や閉会式を総合プロデュースするという、狂言師の野村萬斎さんです。「日本人が古来から持っている精神性を大いに発信していきたい」という、日本文化を代表するような意見。2人目の経団連会長の中西宏明さんは「インターネット社会に乗り遅れた日本は、新しい価値を創る創造と想像(クリエィションとイマジネーション)が鍵」だという経済界を代表する意見。
3人目は京都精華大学学長のウスビ・サコさん。珍しいアフリカ出身の学長さんらしく、「多様化する社会では、異なる相手を知ろうとする姿勢が大切」だという国際的視野からの意見です。そしてもう1人はと言うと、何と中学3年生15歳の「鈴木るりか」さん。鈴木さんは中学2年の14歳の時に、「さよなら田中さん」という小説で作家デビューしたスーパー中学生です。
お天道様は見ている
実は、私はこの4人の中で素直に納得してしまうのが、鈴木さんの意見です。というわけでもう少し鈴木さんの意見を読んでみましょう。「人には善い部分だけでなく、悪い一面もあります。だけど、完全に悪い人はいないと思います。人の中に光と闇があったら、物語では闇の部分に焦点を当てたい。でも最終的に描こうとしているのは、その先にある『救い』です。」
さらに、「どんな時でも光はある。」「どんなに絶望的な状況でも、その人なりの希望、・・・がある限り、人は顔を上げられる。」「日本人のちからになっているのは『お天道様は見ている』と言う価値観だと思います。」「・・・音楽や絵画、文学など人の心に訴えかける芸術の分野は、人の感性抜きにはあり得ません。・・・私は小説でAIには負けません。」
鈴木さんは、同じく14歳でプロ棋士となった藤井聡太さんのことにも触れていますが、彼も中学生の時に、将棋の世界で何歳も年上の一流の棋士を次々と打ち破り、プロの棋士として大活躍しています。言うまでもなく藤井さんは、将棋の練習や試合の際にズルはしないでしょう。お天道様がより厳しく見ていると言う気持ちがあるでしょうから。
未来をひらく願い
さて、そのプロ棋士の藤井さんによると、将棋で「先を読む」際にはAIが得意な「答えがあるもの」と、人が得意な「答えがないもの」があるそうです。答えがわからない未来を予測する上では、人が頑張らないといけないと言うわけです。作家の鈴木さんも、小説でAIよりも人の心に自信を持っています。
この2人の中高生から、とりわけややこしい「日本社会の未来」はどうするべきかについて教えられます。先ずは人が心から願うと言うことですね。そうしたらお天道様がいる見ているから、必ず道が開けるとでも言いましょうか。未来はこうなるというような答えを持ちにくい時だからこそ、ただ変化に流されず、人が願いをもって生きること、それが最も大切だと言えます。
さいごに、高3の皆さんは、いよいよ決戦の時です。大学入試の状況は毎年変化していて、まさにややこしくなりつつある中ですが、先が見えないなと不安になっていませんか。救いを探し求めているかもしれませんが、ここでも同じです。まずは皆さんが、受験生の皆さんが強く願いを持って進むことです。お天道様が必ず見ています。建学の精神の「順天求合」も受験生が素直に読めば、天に順って合格を求めるということです。頑張ってください。