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グローバルウィーク・ダイジェスト2023 3日目(11/15実施分)
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2024/01/11

グローバルウィーク・ダイジェスト2023 3日目(11/15実施分)

2016年に、SGHの活動の一環として始まり、「立場を超えて互いに学びあう1週間」をスローガンに、それ以来毎年実施しているGlobal Week。今年度は以前通り11月13日(月)~11月17日(金)の1週間を通して実施しました。

今回は11月15日(水)に行われた3日目のダイジェストを各トピックの運営担当者よりご報告致します。

◆トピックコード 301
「ロボットと街中で暮らす社会」
 大阪音楽大学 ミュージックビジネス専攻 助教 太田 智美 先生 
 参加生徒数  生徒14名 報告者名 三井田 真由美

 

1.トピック内容等
初めに、ご自身がご出演されたテレビ番組から、ロボットと暮らす日常の風景を見せていただきました。

太田先生は、2014年からPepperと暮らし、慶應義塾大学大学院で「ロボットとヒトの共生」について研究され、博士号も取得されています。しかし、ロボットとの生活は理解されにくいようで、批判的なコメントをもらうことも多いとのこと。それでも、ロボットについて広く知ってもらうために、メディアへ出演は不可欠と考え活動されているそうです。障がいや様々な理由でロボットと暮らす人たちは、今後もっと増えてくると考えられます。

先生は、Robot Friendly Project(ロボットフレンドリープロジェクトhttps://robot-friendly.com/)を立ち上げ、人とロボットが暮らしやすい仕組み作りを目指しておられます。人とロボットが普通に暮らす社会が、すぐそこに来ていると感じられる講義でした。

2.生徒の感想
・AIロボットが増えている中、なかなか受け入りづらい状況が続いていることが分かった。今後の社会では、ドラえもんのような世界観が来ると思った。
・ロボットと一緒に入ることが出来るお店があるということを初めて知りました。そもそもロボットを外で連れ歩くという考えが無かったので、新しい価値観を得ることが出来たと思います。大人になったらロボットを買ってみたくなりました。

 

◆トピックコード 302
「SDGs をめぐる日本と世界の 水問題を考えよう」
北里大学・医療衛生学部 保健衛生学科 環境保健学 コース、教授    清 和成 先生 
 参加生徒数  生徒6名  報告者名 吉野 裕紀

 

1.トピック内容等
SDGs6の目標「安全な水とトイレを世界中に」達成のために、日本及び世界が抱える水問題を「量」と「質」の点から考えたとき、「量」の問題で日本が抱える問題は、生活用水として世界平均の約2倍の量を使用している点がある。また、日本の生活用水、工業用水、農業用水の水消費量合計は「目に見えないVirtual Water (仮想水)」を含めると先進国の平均量よりも大幅に多い、という点があげられる。「目に見えない水Virtual Water(仮想水)」とは、大量の食糧や工業用品の原材料などの輸入品の生産時に消費される水(生産国で消費される水)のことで「間接的に他国(ここでは日本)が消費している水」という考えである。

また水の「質」に関する問題では、世界全体で約20億人(約4分の1)が安全な飲料水の確保ができておらず、約23億人が衛生的な生活用水の確保ができていない点があげられる。さらに感染症や下痢性疾患など水をめぐる健康問題も深刻な地域が多く存在する。

日本の豊かさを、水問題を含む多くの世界問題にどのように還元していくべきかが課題である。

2.生徒の感想
・理数探究でミドリムシの大腸菌の減菌作用を探究しているので、飲み水の確保と繋がりがあると思ってこのテーマを選んびました。お話の後、実験のことを質問できてよかったです。また滅菌操作のアドバイスももらえてよかったです。
・日本は設備が整っており、世界に比べて「水」の使用量は少ないように見える。(リサイクル)しかし、輸入品に使用されている「水」を含むと、(目に見えない水)そうは言えない。不衛生な「水」がもたらす健康被害として、年間200~500万人が亡くなっている。

◆トピックコード 303
「韓国の文化ー韓馥(ハンボク)着付け体験」
 日本大学危機管理学部  准教授 田昌禾 先生

 参加生徒数 43 名 報告者名 神林絹枝

 

1.トピック内容等
田先生の講義は、韓国語での挨拶から始まりました。生徒たちも練習し元気よく挨拶することができました。そして、韓国の文化に関してと韓服に関してのお話がありました。韓国の民族衣装のことを韓服(ハンボク)といい、女性用をチマチョゴリ、男性用をパジチョゴリというそうです。また、女性用・男性用共に、服の前合わせが日本の着物と同じ左身頃が上に来ることを知り、日本と韓国の共通性に関心をもちました。その後、先生が持参してくださった韓服(女性用・男性用)数着を用いて着付けを学習し、試着が行われました。

 初めての体験の生徒たちがほとんどで、非常に楽しそうに試着していました。受講人数も多く、試着希望者も多かったのですが、なんとか時間内に希望者全員が体験することができました。
 韓国文化への興味関心・理解が深まる良い機会になりました。田先生、ありがとうございました。

2.生徒の感想
・長く憧れている韓国の文化にすごく興味を持っていて、韓服を着てみるチャンスを頂いて本当にありがたいと思います。また韓国に関することを体験できてすごく嬉しかったです。
・チマチョゴリは色によって意味が違うということを初めて知って、実際に着れたのも初めてだったのですごく楽しかった。想像では着方がもっと複雑だと思っていたので意外と簡単に着れて驚きました。とても韓国に行きたくなりました。

◆トピックコード 304
「多文化社会を生きるパースペクティ ブ-偏見と差別について考える-」
 法政大学 キャリアデザイン学部  教授 松尾 知明 先生

 参加生徒数 9 名  報告者名 菅原花菜

 

1.トピック内容等
まず、「外国人お断り」をいった事象が起こる背景を考えた。

次に、「青い目茶色の目」の実験授業について記載された文献を読んだ。
(動画視聴を予定していたがオンラインでの実施が困難で断念。後日classroomに動画が配信された。)

「外国人に対して私たちがどのようなイメージを持っているか」という問いに対して生徒は、「怖い」「自分勝手」「背が高い」といった意見が見られた。

オンラインの通信状況が不調であり、講義内容どころか話題提供者の声を聴くだけで精一杯であり意識が集中できていないようだったのが残念である。

2.生徒の感想
・前向きに言うなら、事前課題で身の回りの差別や偏見のことについて400字記述するという課題が少し言葉使い方を難しく小論文のように書くための勉強になったと思います。
・差別や偏見が起きてしまう原因が少しわかった

◆トピックコード 305
「 iPhone をきっかけに学ぶ ビジネスとフレームワーク」

iU 情報経営イノベーション専門職大学   専任教員 松村太郎 先生
 参加生徒数 18名   報告者名 塩谷昇平

 

1.トピック内容等
日本でのシェア率約7割を誇るiPhoneを題材に、フレームワークやビジネスに関するアイデアの生み出し方を学ぶトピック。

まずフレームワークのやり方について、Meetを通して生徒にマトリクス型のグラフを考えてもらった。
生徒たちは各々が思う「携帯電話を選ぶ基準」を2つの軸に反映させて考えていった。スマートさや値段、手に取りやすさ、CPUの性能などなど、選ぶ基準は人それぞれであり、販売者側がマーケット獲得のために何を売りにできるのかが見えてくる。

そもそもビジネスフレームワークとは、情報や状況をあてはめて分析し、それを企業全体やグループで論理的に課題解決に結びつけるための手法である。MECE(抜け漏れ)がないことを確かめる1つの手法として、今回生徒はアイデアが湧き出るフレームワーク作りを実践できた。斬新なアイデア、革新的なものとは閃きではなく、既存の要素のなかにこそ存在していると松村先生は語る。

生徒たちにとって、これからの社会でイノベーションを起こせる人材になるための、そのきっかけの1つになったのではないだろうか。

2.生徒の感想
・新しいアイディアは、全く新しいものを考えて生み出すものではなく、既にある事柄の結合によって生み出すことが出来るものということ。マトリクス型やロジックツリーなど、情報整理やアイディア出しの方法が沢山あったことが印象的だった。
意見を主張したいときは、確かな根拠から聴く人の共感を得ると納得してもらいやすいということが分かった。アイディアは真新しいものだと思っていて、アイディアを思いつくことは苦手だと思っていたけど、事柄の結合だと考えれば何かしらのアイディアは思いつくことが出来そうだなと思った。
・当時は折りたたみ式の携帯電話が多く普及していた中、なぜアップル社はスマホを大ヒットさせることができ、現在殆どの人がスマホを使っているかについて学んだ。携帯電話の使いにくい部分やどこの機能が向上して何がしやすくなるのかを明確に示すことで、他との比較がその場ででき、購入意欲を上げることができることを知った。他社を下げて自社の製品を買わせようとすることはやってはいけないことだが、今後どうなるかもしれないという仮定を示すことは人々をワクワクさせ値段が少し高くても購入しようと思わせたアップル社はすごいなと感動した。

◆トピックコード 306
「国際協力の現場で必要な力とは?」
NPO法人Home for Hope 代表/NPO法人メタノイア 理事/NPO法人カタリバ 職員 石井丈士 先生

参加生徒数 14名 報告者名 デグラ・シェバ

 
  1. トピックの内容等
    発表者の石井氏は、恵まれない地域の貧困に対処するための国際協力と必要な力について洞察に満ちた講演を行った。講義は、フィリピンの農村部の実情に焦点を当てた実践的な事例から始まり、包括的なディスカッションの場となった。

理解を深めるため、石井氏は国際協力のシナリオを想定したシミュレーションを提供し、グループ活動を通して生徒たちを引き込んだ。この実践的なアプローチにより、生徒たちは複雑な内容を把握し、協力的な思考を育むことができた。このような演習の中で、生徒たちは活発に意見を交換し、効果的な協力についての視点を豊かにした。

講義は、国際協力を成功させるための必要な力についてのディスカッションで締めくくられた。
石井氏は、対話力の重要性、なかでも他者の視点に共感するという最初のステップを強調した。
生徒たちはこの重要な原則について考えるよう促され、多様な視点を理解することの重要性を理解した。

さらに石井氏は、国際協力には行動力が不可欠であるというメッセージを熱く語った。石井氏は、有意義な変化は積極的な一歩から始まると強調し、生徒たちに、率先して行動するよう促した。

これは、変化をもたらすためには、単に熟考するのではなく、行動を起こさなければならないという常日頃から言われている考えと共鳴するものであった。
結論として、石井氏の講義は、生徒に国際協力の力学を包括的に理解させるものであった。

実践的な事例、インタラクティブなシミュレーション、本質的なスキルに焦点を当てた講義の組み合わせは、学習体験をより豊かなものにした。共感、効果的な対話力、主体性に重点を置いた講義は印象に残り、国際協力に貢献するための自分の役割について考えるきっかけとなった。

2.生徒の感想
・支援をするためにはまず相手のことや相手が置かれている状況を知ることが大切。現地の人に協力を呼び掛けるのは難しいということが分かった。
・国際協力の現場で必要な力。国際協力をするにあたって解決策を見出す力やそれを行動に移す力も必要だと思うけど、それ以上にコミュニケーション力が必要だと思いました。コミュニケーションが取れないとまず困っていることに気づけないし、それを解決するために何をして欲しいのか等が分からないからこの力は必要だと思います。

◆トピックコード 307
「IoT(Internet of Things)を活用した 我々の未来社会を考えよう」
千葉工業大学  教授 関 研一 先生

 参加生徒数 16名 報告者名 種村毅

 

1. トピック内容等
IoTについて概要を説明したうえで、社会のどの分野に、どのような技術を導入すれば、どのような便益が生じるかを生徒一人ひとりに考えさせた。生徒が考えたアイデアに対して、講師はそのアイデアの実現可能性や得られるメリットの大きさ等についてコメントをしてくれた。/後半のアイデア出しの時間は、生徒の意欲が感じられた。いくつかのヒントをもとに、各自がさまざまなアイデアを考え、発表していた。

2.生徒の感想
・授業の終盤に、みんなで社会で活用できるIoT機器を考えて発表しました。そのときに、一人一人色々な違いがあってとても面白かったです。それぞれ性別の違い、年齢の違いによって見方が違うところがとても面白いと思いました。
・IoTの普及に向けた多くの実証実験が既に実施されていることを知り、Society5.0への変化が進みつつあることを知った。また、理系の学生として役立てることが多くあると感じることが出来た。

◆トピックコード 308
 「捕鯨から見た世界 捕鯨?保鯨?あなたはどう考える?」
(一財)日本鯨類研究所 部門長 田村力 先生

 参加生徒数 20名  報告者名 高谷哲司

 

1. トピック内容等
このプログラムは捕鯨についてどのように考えるか、生徒一人一人に問うものでした。捕鯨について考えるにあたり、クジラの生態、日本人とクジラとの歴史的な関わり、今後の世界・日本をとりまく状況から捕鯨をどのように考えていくべきか、持続可能な商業捕鯨とはどのようなものかについての講義が行われました。生徒たちは講義を聞いたうえで、捕鯨についてどのように考えるかを最後に発表しました。
多くの生徒が持続可能なかたちであれば、商業捕鯨を続けていくべきだと答えていました。
クジラは身近な動物ですが、いざ捕鯨となると初めて出会う情報が多く、とても興味深い講義でした。
本校生徒の保護者でもある田村先生は、国外に比べて国内で関心が低い捕鯨問題を2年連続して専門的な立場から取り上げてくださっています。

2.生徒の感想
・人間は今まで動物を乱獲してきた歴史を持っているけれど、狩りを今後一切しなくなっても、今の生態系のバランスが崩れ、環境面や人間生活の面においても問題が生じるとわかったこと。
・捕鯨について何となくしか知らなかった多くのことを知ることができました。捕鯨の歴史ややり方、必要性などを知ることができました。またほとんど知らなかった鯨についての知識や雑学を知ることできました。捕鯨については私の探求テーマと関わりが深いので、今日のことを今後の活動に生かしていきたいです。

◆トピックコード 309

話題提供者の希望により非公開としています。

◆トピックコード 310
 「スタイルは自由だし、進路も自分のペースで進めばいい! どんな未来がハピハピ?」
 順天高等学校  高校3年生 藤澤蒼太先生

 参加生徒数 20名  報告者名 川本真一

 

1. トピック内容等
大半の高3生が大学進学を目指している順天高校において、「それが自分の本心なのか?」という疑問を自分なりに考えるところからこの企画がスタートしている。そして、順天高校三年生の「僕」が今年は大学に行かないという選択をし、その過程で生じた疑問に対して考えたこととみんなの意見とを「共有」する場としてグローバル・ウィークを活かすことになった。

『最終的に、将来を考えることにワクワクしてもらえる』時間を目指して、参加者が忌憚のない意見、感想を交換しながら交流する場となった。会場では保護者、教員も巻き込みながら多様な考えが混ざっていった。

2.生徒の感想
・ウクライナ問題が、ホームドア製造に影響を与えていることに驚いた。
・受験生の応援や展示など、今まで知らなかった王子駅のことを知れた。
・自分の進路で大学にいくか専門学校に行くか悩んでいて、周り人は大学に行くから大学に行こうと思っていたけどもう一度自分がしたいことや大切にしたいことを考え直そうと思った。人生を考えるきっかけになりました。ありがとうございました
・話し合うことによって今まで普通に思ってたことが言語化することによって、自分が大切に思ってたことが理解することが出来た

◆トピックコード 311
 「 数学・理科を華麗に楽しもう 」
 認定NPO法人  CFFジャパン 森川雅博 先生

 参加生徒数 12名  報告者名 レプシャー・ニコラス

 

1. トピック内容等
Chat GPTの活用の仕方

 生徒1:新しい夏の季語は?
  解答:きらめく浜辺、ふみしめる夕凪、蓮の花舞う湖畔

 生徒2:数学の入試問題を作成せよ。
Mathematicaの活用
 生徒3:y=sinx、y=cosx、y=tanxの交点を求めよ。

一般相対性理論等生徒が関心ある事に関して生徒がどんな疑問を持っているかを聞き、教授がその件に関してどう感じているかを対話形式で進めた。      

2.生徒の感想
・チャットGPTは使ってはダメという習慣があるように勘違いしていたけど、これから積極的に使って間違いを自分で判断できるようになりたい。
・学校生活で使える様々なサイトをしることが出来たのでこれからの学校生活で使っていきたいと思います。

◆トピックコード 312    
 「Weardy ~WEAR×study~ 地球を救え!身近な衣服から 取り組む SDGs」
 日本毛織株式会社
 吉田 晶 先生
 参加生徒数 8名 報告者名    阿部邦宏

 

1. トピック内容等
毛織物の発生は5000年前にさかのぼる。17世紀後半に綿織物が普及するまでは、ヨーロッパの衣類は基本的に毛織物であった。その後、機械の発達によって綿織物が主流となるが、現代に至るまで毛織物は失われることなく続いている。

撥水性や難燃性など、毛織物の長所はさまざまだが、近年は特にその「持続可能性」に注目が集まっている。このトピック「weardy」はそんな「サステイナブル原料」である毛織物の特徴にフォーカスして、生徒に毛織物についてより知識を深めてもらうとともに、これから私たちはどのような点に注目して生地を選んでいけばよいかという視点を養うものであった。生徒たちが始終「知っていそうで知らない毛織物のひみつ」に触れて目を丸くしていたのが印象的であった。
 
2.生徒の感想
・ウールは、シワ回復力も、難熱性も、撥水性もあったりして、素材としてとてもいいんだな、と思いました。
・毛織物の、これまでと将来性について、知ることができた。

◆トピックコード 313
 「磐田で学ぶ農業の今」
 順天高校英語選抜類型 磐田市・ポッカサッポロ社共同事業グループ
 高校1年生、2年生
【吉田スミス 天城、喜多 和奏、中田 詩音、金子 歩生、延原 昂希、長谷川 亜希、山下 璃子 先生】
 参加生徒数 23名 報告者名 富樫和之

 

1. トピック内容等
英語類型独自の「英語探究」という授業の中で、磐田市の農業における深刻な人手不足を解決できないかを模索しているグループの発表でした。農業従事者が減っている理由として、若者の田舎離れと、そもそも農家に対するイメージが良くないことの二つがあるという仮説を立てた。

そこで、生徒たち自身の農業に関してのイメージを列挙し、それをもとにアンケートを作成、北区の団地祭りと順天の文化祭で実施することで、都会に住む人たちの農業イメージを把握しようと試みた。
その結果をもとに今回のグローバルウィークでは、特に注目すべきイメージと、その実像との差を紹介していた。

例えば、収入面や労働条件についての実像の説明は多くの人が農業に対して抱いている不安や、悪いイメージを払拭するものであった。20代の農業従事者へのインタビュー動画などを流すことで実態を紹介した。生徒たちと近い年齢の方からのお話だからこそ、響いたものがあったように思う。

担当教員にとってもその内容は新鮮であった。農業従事者自身の裁量次第で、収入面や労働時間なども大きく変わることを知り、とても興味深い内容であった。

2.生徒の感想
・農業についてたくさん調べたものを見て、すごく自分自身の中での農業に対するイメージが変わって意外なことしかなくて面白かったです。受ける前と受けたあとで農業についての理解は180度変わったのでいい経験になりました。
・農業に対する自分の偏見が覆され、自分もいつかやってみたいというプラスのイメージがかなり大きくなった。
・今回のお話で、日本に住んでる自分が、いかに水に恵まれているか、ということを、再認識できた。

◆トピックコード314
 「―福田理軒先生の大阪「順天堂塾」と 京都「斉政館」の関係-」
 学校法人順天学園 理事長 
渡辺孝藏 先生
 参加生徒数 6名 報告者名  海老原賢宏

 

1. トピック内容等
理軒館・メモリアルホール・ホームページ・『中学・高校生活の手引き』の年表などを参照して、順天学園の歴史について考えてくる、という事前課題が出されていた。生徒一人ひとりの意見を聞きながら、渡辺先生(本学園理事長)がご自身の研究によって知るところを解説してくださった。10 月 21日 に日配布された『順天 190 年史』を読んでくる生徒もおり、それについての質問もあがった。

また、江戸・明治時代の福田理軒先生の足跡を想像するために國學院大學の新発見資料や京都斉政館の地図と現在の地図とを見比べるたり、当時おこなっていた天体観測において使用された道具のミニチュアを回覧したりした。

また、暦に関する有名な資料である早稲田大学図書館所蔵の「オランダ正月」の絵図をもとにしつつ、江戸時代にありながら太陽暦を用いて正月を祝賀していた人々のユーモラスな姿を関連資料として提示した。

2.生徒の感想
・理軒先生らの偉業と理事長先生の研究を学びました。ありがとうございました。もっとじっくりと百九十年史を読みたいです。
・小学校にやったことが少し思い出されて、聞いてて楽しかったです。笑える場面もあり、本当に楽しかった。

◆トピックコード 315
 「SDGS と企業―持続可能な 社会を目指す中で企業人は 何を考えているのか―」
早稲田大学教育・総合科学学術院 国語国文学科 准教授 菊野雅之 先生
参加生徒数 15名 報告者名 小寺博明

 

1. トピック内容等
エネルギー企業と住宅企業で働く企業人のお二人をゲストに迎え、持続可能な社会に向けた企業の考え方や取り組み、現場から世界はどのように動いているように見えるのかなどを話してもらいました。

また、企業人のやり取りを聞いている間に浮かんだ質問を生徒はformに入力し、その質問も取り上げながら進めていくスタイルで行いました。話題はSDGsの様々な課題に及びましたが、特にこれからの日本社会の在り方やエネルギーの在り方などについての最先端の話を伺うような質問が多く出て、活発なやり取りが見られました。生徒が質問や意見を述べる機会が豊富にあり、地球のこと、世界のこと、日本のこと、自分の進路のこと、悩み相談など、ジャンルを問わず様々な疑問や考えを述べていました。

2.生徒の感想
・SDGsのための様々な取り組みがあるが、コストなどの面で難しいなど、持続可能な社会のための対策が思っている以上に難しい問題なのだということを知った。
・エネルギー会社は地球温暖化を促進させてるのかと思ってたが、むしろ温暖化防止の対策を行っていてもっと各企業のSDGsの取り組みに興味を持った。

 

◆トピックコード 316
 「カルロス・ゴーンを捕まえろ! ー国境を越える犯罪から視る 国際社会の刑事司法の現在―」
東京女子大学  教授 根本和幸 先生
参加生徒数 34名 報告者名 堀内進

 

1. トピック内容等
カルロス・ゴーンが金融商品取引法違反で逮捕拘留後、保釈中に正規の手続きを経ずに関空からトルコ経由でレバノンに出国した。現在でもレバノンに滞在している。金融商品取引法違反容疑以外にも出入国に際しては日本とレバノンの手続きを受けていないという法律違反がある。この状況にもかかわらず彼はいまだ刑事罰を受けていない。
これは国際法の観点からどのように評価されるのか。

日本国内で窃盗のような犯罪を犯せば、日本国内で逮捕されるはずである。これは国が主権を持っていてそれを行使するからである。国家は明確な領域を持っていて、領域内では法に基づいて排他的権限を行使できる。このことに関して他国からの支配命令を受けない。国家主権から生じる機能とは、法律に違反すると警察に逮捕され、起訴されて裁判にかけられるということである。主権があると法律を作ることができ、捜査逮捕することができ、また裁判をすることができる。

ゴーンは日本国の主権の及ばないレバノンに滞在しているので、日本の警察が現地で捜査・逮捕することができない。ゴーンの引き渡しを現地で主権を持つレバノンに要請する事しかできない。
このようなことから、国外に逃亡しても、国際社会のどこかで処罰されることが大事であるということがわかる。

越境犯罪の取り締まりや犯罪者を野放しにすることの防止(不処罰の防止)のために、国際条約による犯罪人の引き渡しか滞在している土地の主権をもつ国家が訴追することが原則である。しかしそれは、主権国家であるレバノンの判断によるものであり、おそらくゴーンの訴追はしないと思われている。

2.生徒の感想
・今までニュースを見ていても、カルロスゴーンが逃亡してなぜ居場所がわかっているのに捕まらないのかと疑問に思っていたけど、今回の授業で国際法の仕組みや決まりを知り、他国との間にある法律や、自国の法律が他国には通用しないことなどを学び、この事件について理解できました。国際法に興味があったので、今回学べて良かったです。
・カルロス・ゴーンを通して、国際法を学んでみたいと感じることができた。今まで、日本の法律学に興味はなかったが、国際法律の方に興味が出るとは思わず、いい刺激になった。

◆トピックコード 317
 「アフリカの教育と経済発展」
学習院大学  准教授 山﨑 泉 先生
参加生徒数 6名 報告者名  小見山太郎

 

1. トピック内容等
「なぜアフリカについて学ぶ必要があるのか」「アフリカの教育について」、大きく分けるとこの2つについて学ぶことができました。「なぜアフリカについて学ぶ必要があるのか」について、1つは人道的な理由から。1つは、日本を含む先進国も開発途上国と相互依存関係にあるからという視点で話していただきました。

冒頭、生徒に白地図が配られ、アフリカの国名と位置を考える問題がありましたが、生徒はなかなか答えられませんでした。しかし、現在日本企業はアフリカ54カ国全てに拠点があることを聞いて、生徒も驚いていました。「アフリカの教育について」では、「人的資本論」という概念を学ぶことができました。
経済成長には人的資本が不可欠。つまり十分な教育を受け、十分な栄養をとった、健康な人材が必要であるということです。

2.生徒の感想
・アフリカでは、勉強できない人たちがたくさんいて、勉強できるのもふつうのことではないということを実感した。小学校2年生で約7割が一桁の足し算もすることができないと知って衝撃だった。女性の教師が特に少なくて、必要とされているということを知って私がこれから先何かできないか考えるきっかけになった。
・私の探究テーマは「アフリカの経済と教育について」で、今回のトピックとほぼ一諸でした、山崎さんの連絡先をもらうことができ、探究でつまずいたときにとても役立つと思います。今回のトピックに参加して、探究の方向をより具体的にするとができた。

 

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